細胞内の器官「小胞体」の研究でノーベル生理学・医学賞候補として注目される森和俊・京都大高等研究院特別教授の特別講義が1日、名城大八事キャンパス(名古屋市天白区)であった。2024年から同大薬学部の特任教授を務める森教授は「まずは大志を持つ。『何かやろう』と思うことが大事」と薬学部生約300人に語りかけた。
森教授は、細胞内に作られた異常なたんぱく質がたまるのを防ぐ「小胞体ストレス応答」と呼ばれる仕組みを解明。異常なたんぱく質の蓄積は、がんや糖尿病、パーキンソン病などと深い関係があり、治療法開発への応用が進められている。ノーベル賞の登竜門と言われる「ラスカー賞」や「ガードナー国際賞」などを受賞してきた。
講義では高校時代の生物の勉強について「暗記科目と思い、面白くないと思っていた」と明かした。米留学などを経て巡り合った自身の研究テーマを紹介し「基礎研究は地味だが、うまくいくと(医師らなど)たくさんの人を巻き込み、いろいろなことができる」と魅力を語った。
今年のノーベル生理学・医学賞は6日に発表される。【川瀬慎一朗】
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