閣議後会見で記者の質問に答える阿部俊子文部科学相=東京都千代田区で2025年10月10日午前10時38分、斎藤文太郎撮影

 自民党の高市早苗総裁が過去に自身のウェブサイトで教育勅語を「尊重すべき正しい価値観」などと称賛していたことに対し、阿部俊子文部科学相は10日の閣議後記者会見で「積極的に教育現場で活用しようという考えはない」と述べた。

 高市氏は2012年9月、自身のホームページ上のコラムで教育勅語について「現代においても尊重するべき正しい価値観ですし、子供も大人も覚えて繰り返し唱和することで、日本人全体が心を合わせて道徳を実践する空気を醸成したものだと思います」「この見事な教育勅語は、敗戦後のGHQ占領下で廃止されてしまいました」などと記載していた。

 10日の記者会見で阿部氏は「高市氏のホームページの記載は承知しているが、その趣旨は承知していないのでコメントは差し控える」と述べた。その上で、「教育勅語は日本国憲法の制定などをもって法制上の効果を喪失しているものだ」として、内容について政府としてコメントは避けた。

 7月の参院選では、教育勅語尊重を掲げている参政党が躍進。選挙後の記者会見で阿部氏は「憲法や教育基本法に反する形で用いることは許されない」と述べており、この日も教育勅語に関する考え方に変更はないとした。

 毎日新聞は6日、高市氏の事務所の現在においても同様の考え方かどうかを質問したが、10日朝までに返答はない。【斎藤文太郎】

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