
自民党と公明党の連立が解消されることになり、文部科学省内からも動揺の声が上がった。2026年度からの私立高校無償化に向け、政治主導で議論されてきた予算確保の見通しは立っていない。高校の願書受け付けの時期が迫るなか、政治の主導権争いによって子どもが「置いてきぼり」を食らう可能性がある。
「戸惑っています」
自公党首会談後の記者会見をテレビ中継で見ていたという文科省幹部は、取材に対し率直な胸の内を明かした。
もともと自公と日本維新の会の3党協議の進展が遅く、制度開始まで半年を切っているが、いまだに肝心の無償化される対象が固まっていない。
願書受付を11月に始める私立高校もあるが、各校は入学希望者や保護者に明確な説明ができずにいる。連立離脱で、先行き不透明感はさらに増した。
高校無償化は25年2月、3党合意で導入が決まった。25年4月から所得制限が撤廃され、26年4月からは私立の授業料を最大45万7000円(現行は39万6000円)まで無償にする方針を決めた。
無償化によって必要となる追加経費は約4000億円とされる。3党は恒久財源が必要との考えで一致していたが、どのように財源を確保するかについての結論は出ていなかった。
8月末に文科省が公表した26年度予算の概算要求でも予算額を示さない「事項要求」にとどまった。
文科省幹部は「生徒が割を食う事態は避けなければならない」としつつ、「今後、どの党が与党になるかもわからず、3党協議が続くのかどうかもわからない」と困惑した様子で話した。【斎藤文太郎】
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