香川と岡山の島などを舞台とした3年に1度の現代アートの祭典「瀬戸内国際芸術祭2025」が開かれている。11月9日までの秋会期には、今回から新たに宇多津エリア(香川県宇多津町)が加わった。春、夏、秋会期と続いた瀬戸芸も最終盤となる。瀬戸内の文化や暮らし、景観などに刺激を受けて制作された独創的な作品を紹介する。
ブンポール・ポーティザン「最後の避難所」
伊吹島(香川県観音寺市)の港から坂を上っていると、陸地から浮かんで空に透ける白い船が現れる。近づくと、地面に刺された竹の先にある数々の木彫りの手が、それを支えていた。
制作したラオス生まれの作家ブンポール・ポーティザンさんは、母国も瀬戸内海の島も文化が失われつつあると感じ、「失われる地域文化の駆け込み先」を表現した。
約100個の木彫りの手は老若男女さまざまで、複数種の木を用いることで多様性を示した。
伊吹島では、沖合で捕れるカタクチイワシを使ったいりこが有名だ。船の端には、港にも掲げられているのと同じ、いりこのこいのぼりがたなびく。
ブンポールさんは「団結力と美しい文化を感じてほしい」と話している。
伊吹島(香川県観音寺市)【アクセス】
観音寺港から高速船で約25分。会期中の平日はハイスタッフホールが、土日祝日は同ホールと琴弾公園有明グラウンドが無料駐車場となり、それぞれ観音寺港行きの無料シャトルバスが出る(地元の祭りのある18、19日と休島日の23、30日は除く)。
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