千葉県内の公立学校のいじめ認知件数

 文部科学省の2024年度「児童生徒の問題行動・不登校調査」で、千葉県内の公立学校(小中高校など1283校)のいじめ認知件数が前年度から269件増えて5万4724件となり、過去最多を更新した。県教育委員会が29日、同調査の県内公立学校分の結果をまとめて公表した。

 内訳は、小学校が4万6562件(前年度比22件減)と全体の85%を占めた。他は中学校7031件(同174件増)、高校979件(同119件増)、特別支援学校152件(同2件減)。児童・生徒1000人当たりの認知件数は102・7件で全国平均の61・3件を大きく上回った。

 いじめの内容は「冷やかしやからかい、悪口など」が小中学校でも高校でも最多だった。小中学校で2番目に多かったのは「軽くぶつかられる、たたかれるなど」だったが、高校では「パソコンや携帯電話などでのひぼう中傷」で交流サイト(SNS)の影響がうかがわれた。

 いじめ防止対策推進法の「重大事態」は52件で、前年度の102件から半減した。同法は、いじめにより①命や心身に重大な被害が生じている②相当期間の欠席を余儀なくされている――疑いがある場合を重大事態と定めている。

 県教委は認知件数の増加について、コロナ禍の行動制限で他者と交わる機会が限られ、対人スキルを身につける機会が少なかったことが一因として考えられると指摘。さらに、学校が「重大事態」への発展を防ぐため、ちょっとしたトラブルもいじめと認知していることが全体を押し上げたとみている。県教委の担当者は「いじめの予兆を察知したら積極的に認知し、対応するよう引き続き学校を指導する」と述べた。

不登校、暴力行為も過去最多

 不登校の児童・生徒数も過去最多の1万7777人(前年度比369人増)に上った。小学校は前年度比7%増で、県教委はフリースクールなど学外で学ぶ場が増えていることも影響しているとみる。

 学校が把握した不登校児童・生徒の事情は、小中学校と高校のいずれも「学校生活に対してやる気が出ない」が最多で、他に「生活リズムの不調」「不安・抑うつ」が多かった。

 暴力行為も過去最多の8209件(前年度比946件増)。県教委は、学校が児童・生徒同士のけんかを厳密に生徒間暴力として計上するようになったことが要因とみる。学校種別では小学校が全体の77%を占めた。【中村聡也】

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