 
      動物やキャラクターを模したぬいぐるみ型のペンケースが、中高生を中心に人気を集めている。
9月下旬に東京都江東区の中村中学・高校の中学2年のクラスを訪ねると、約30人の生徒のうち半数近くがぬいぐるみペンケースを机に置いていた。ぬいぐるみのファスナーを開けると筆記用具が入っている。少し前からはやっているそうで、生徒の一人は「教室内にいろいろなぬいぐるみペンケースがあって楽しい」と話した。
先駆けは「NICI」
 
      ドイツのぬいぐるみメーカー「NICI(ニキ)」は、2000年代初頭から日本国内でぬいぐるみペンケースを販売している。愛らしい表情の動物や人気キャラクターをモチーフにした「フィギュアポーチ」(税込み2200~3500円)は、交流サイト(SNS)の口コミをきっかけに、10年ほど前から人気が徐々に高まっていった。
NICIの代理店、アントレックスの担当者は「ぬいぐるみの上質素材をそのまま生かしているので、ふわふわで最高の触り心地を楽しめる」とPRする。キーリングなど周辺商品の投入や、衣料品業界との協業を進め、24年度の売り上げは前年比16%増。担当者は「今年も昨年を上回る勢い」と話す。
社員の反対押し切った「セミのぬけがら」
バンダイナムコホールディングス(HD)傘下のサンスター文具は22年からぬいぐるみペンケースを販売している。「ゾウが踏んでも壊れない」の宣伝文句で知られる「アーム筆入」など、アイデア文具を得意とする。
 
      動物を模した「ヌイミー」シリーズ(2200円)のほか、今年8月には「セミのぬけがらペンケース」(2420円)を発売した。昆虫好きの開発担当者が、セミの抜け殻の造形美にひかれて企画したものだ。社内調査では7割の社員が商品化に反対したが、賛成社員の「大絶賛」を受け、世に送り出したという。
リアルな形状にこだわり、背中のファスナーを開けて文具を取り出す様は、セミの羽化を思わせる。前足にワイヤが入っており、形を保ったまま机の上で自立可能。カバンにぶら下げて持ち運ぶこともできる。
サンスター文具の広報担当者は「交流サイトなどで話題になり、予想以上に売れた」と手応え十分。購入した人からは「見た目も手触りもいい」「全色ほしくなる」「インパクトは絶大」と賛辞が寄せられている。
大手通販サイト「楽天市場」によると、25年2~4月のぬいぐるみペンケースの流通額は、前年同期比で約1・3倍だった。多くの人に支持される理由について、サンスター文具の担当者は「実用性に加え、『見ていて気分が上がる』など癒やしや可愛さを求めたり、自分らしさを表現したりするアイテムとして選ばれている」と分析する。
日本玩具協会によると、24年度のぬいぐるみ全体の市場規模は、前年度比15%増の450億円。15年度からは2倍以上に伸びた。「推し活」として、一緒に「外出」してSNSに投稿する「ぬい活」もブーム。ぬいぐるみの楽しみ方は多様化している。【嶋田夕子】
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