写真はイメージ=ゲッティ

 婚姻中の父母に認められている共同親権を離婚後も可能にする改正民法について、政府は31日の閣議で2026年4月1日に施行すると決めた。改正前は離婚した父母のどちらかを親権者とする単独親権しか認めていなかったが、施行後は離婚時に協議して単独とするか、共同とするかを決める。協議が折り合わなければ、家裁が「子の利益」の観点から親権者を判断する。

 施行日より前に離婚している父母でも、家裁に親権者の変更を申し立て、家裁の判断の時期が施行日以降であれば、単独親権から共同親権への変更も可能となる。

 親権は未成年の子に対して親が持つ権限と義務。共同親権をとった場合、子に関する重要な決定で離婚後も父母の話し合いや同意が必要となる。

 改正法では、父または母が子に虐待する恐れがある、父母の間で家庭内暴力(DV)の恐れがある場合などは家裁は必ず単独親権とするように規定した。一方で、父母の合意がない場合でも、家裁が子の利益にかなうと判断した場合は共同親権とすることも認めた。

 また、共同親権の状態であっても「日常の行為」や、子の利益にとって「急迫の事情」がある場合は一方の親が単独で親権を行使できるとも定めた。

 具体例を記した「Q&A形式の解説資料」では、「子どもの学校での三者面談への出席」など子の身の回りの世話や教育関係の決定を「日常の行為」として例示。「緊急の医療行為を受けさせる必要がある」などを「急迫の事情」としている。解説資料は法務省のホームページで確認できる。

 また、法改正で父母が離婚した際、子の養育費に関する取り決めがなくても、子を養育する親が相手に暫定的な養育費を請求できる「法定養育費」制度も新設された。法務省は法定養育費の額について子1人あたり月2万円とする省令案を示しており、この制度も26年4月1日から始まる。【巽賢司】

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