学校の教室(写真はイメージ)=ゲッティ

 文部科学省が公表した2024年度の「問題行動・不登校調査」で、大分県内の国公私立中学校で「不登校」とされた生徒は前年度比172人減の1942人となり、9年ぶりに減少したことが明らかになった。県教育委員会は、不登校の傾向がある生徒への支援体制の強化が奏功したとみている。【山口泰輝】

 不登校は、病気や経済的理由以外の要因で年間30日以上登校しない状況を指し、県内の中学校では16年度から増加傾向が続いていた。文科省の調査は、県内では小学校251校▽中学校123校▽高校55校▽特別支援学校19校--の計11万3211人を対象に実施した。

 不登校生徒数が減少に転じた要因の一つに、県教委は教室での集団生活が難しい生徒向けの「校内教育支援ルーム」の設置を挙げる。専属の支援員を配置し、学級担任らと情報共有しながら生徒それぞれに適した学習環境を整え、悩みを相談できる体制を強化した。大規模校を中心に21年度から随時設置し、24年度には46校に広がった。

 県教委学校安全・安心支援課の松村義広課長は「支援ルームの取り組みが不登校の未然防止や、不登校生徒の学校復帰につながった」と話す。文科省の調査では、県内の小学校1133人(前年度比89人増)、高校690人(同11人減)の児童生徒も不登校とされた。支援ルームは今年度から、小学校でも設置を始めた。

 また、いじめの認知件数は7771件で、前年度から1065件減少した。校種別では小学校5898件(同1299件減)▽中学校1714件(同163件増)▽高校134件(同60件増)▽特別支援学校25件(同11件増)--と、小学校での減少が目立った。

重大事態は7件増

 県教委は、小学校での教科担任制の導入で複数の教員が児童と関わり、学校側の組織的支援が拡充されたことが減少の要因とみる。一方、生命や心身、財産に重大な被害が生じたり、相当期間の欠席を余儀なくされたりする疑いがある「重大事態」は、前年度比7件増の11件に上った。

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