市販薬と効能や成分が似ている「OTC類似薬」の保険適用見直しの議論が6日、社会保障審議会の医療保険部会で本格的に始まった。適用外になった場合、患者の医療費の負担は増える可能性が高い。慢性疾患がある患者らへの対応や、対象範囲をどうするかが焦点になる。厚生労働省は年末の予算編成までに一定の結論を得たい考えだ。
OTC類似薬は、医師の処方箋を必要とする保険適用薬のうち、湿布薬や風邪薬など市販薬に似ている薬を指す。厚労省によると明確な定義はないが、保険適用されるため、現在は1~3割の患者負担で入手できる。
保険適用の見直しは、現役世代の保険料引き下げが目的だ。日本維新の会は、社会保障を巡る自民、公明両党との3党協議でも一貫して適用外にすべきだ、と主張。自民と維新の連立政権合意書には、OTC類似薬を含む薬剤自己負担の見直しが盛り込まれた。維新幹部は「連立入りして政策実現しやすくなった。この機会を逃さずしっかり党の立場を主張していく」と話す。
ただ、低所得者や慢性疾患がある人にとっては負担増につながることから、患者団体らからは反対の声が上がっている。日本医師会も「社会保障のセーフティーネットを毀損(きそん)しかねない」としている。
6日の部会では、多くの委員から「子どもや慢性疾患の患者、低所得者らが負担増とならない配慮が必要だ」との指摘が相次いだほか、「適切に患者自身が薬を選ぶのは難しい。自己診断で重篤疾患の早期発見ができない可能性もある」と懸念を示す意見もあった。【鈴木理之】
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