秋田県立雄物川(おものがわ)高校(横手市)男子バレーボール部監督の宇佐美大輔教諭(46)が部員に体罰をしていた問題で、県教育委員会は7日、宇佐美教諭を懲戒免職処分にした。現役部員のうち半数近い14人が体罰を受けたと証言したという。
処分理由は2023年4月ごろから25年9月にかけて、複数の部員に対して平手や拳でたたく、腹部を蹴るなどの体罰をしたほか、「ばか」といった暴言を浴びせたとしている。60代の校長についても戒告の懲戒処分とし、教頭を訓告とした。
宇佐美教諭は県教委の聞き取りに「全国レベルに引き上げるには体罰を含め厳しい指導が必要という誤った考えを持っていた」などと話したという。
雄物川高は10月15日付で、宇佐美教諭の体罰に関する報告書を県教委に提出していた。県教委によると、1~3年生の部員31人への聞き取りで14人が体罰、13人が暴言を証言し、このうち11人が両方の被害を訴えたという。
県教委が公表している体罰の懲戒処分の基準では、最も重い免職は「体罰を加え、児童生徒を死亡させ、または重大な障害を負わせた場合」としている。今回免職と判断した理由について、県教委は記者会見で「継続性があり被害を受けた人数が多いこと、過去にも体罰で指導を受けていたことなどを勘案して標準より重い処分とした」と説明した。
雄物川高では数年前にも宇佐美教諭から暴力を受け退学した部員がいることが毎日新聞の取材で判明している。しかし、今回の処分は現役部員への聞き取り調査のみを根拠とした。理由について、県教委は情報が寄せられた際にはその都度部員に聞き取りを実施したものの体罰が確認できなかったことや、卒業生の現在の所在を把握できないことを挙げた。
県教委によると、宇佐美教諭は16年度にも当時の部員4人に対して平手でたたくなどの体罰をしたとして書面で指導したという。また、19、21、23年度にも宇佐美教諭の体罰に関する情報が寄せられていたが、確認できなかったという。
宇佐美教諭の体罰を巡っては、県バレーボール協会が既に10月6日付で1年間の謹慎処分としている。10月17~19日に開催された全日本バレーボール高校選手権大会(春高バレー)の県予選は監督として登録されたコーチが指揮を執り、31年連続31回目の優勝で本大会出場を決めた。【木原真希】
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