ママになってから、自分を取り戻した8人の女性たち(写真はイメージです) PJH-Unsplash

<「自分を取り戻したい」──出産を経験した母親たちの口から、何度も聞かれる言葉だ。体も、生活も、価値観も変わる。けれど、その中で「かつての自分」と「今の自分」をどうつなぎ直すのか>

母親になると、すべてが変わる。体も、アイデンティティも、そして脳までもだ。この変化には名称がある。「マトレッセンス」と呼ばれ、母親になる過程で人間関係、ホルモン、優先順位、感情などが再構築される現象である。

臨床心理学者アン・ウェルシュ博士は本誌にこう語っている。「母親たちが『自分を取り戻したい』と言うとき、それは、変わってしまった自分と、かつての自分をもう一度つなぎ合わせたいという願いなのです」

「つまり、自分の人生が大きく変わった中で、自分自身を再び見つけたいという思いです。でも実際のところ、私たちは以前の自分に戻るわけではありません。新しい自分へと進化するのです」

近年の神経画像研究によると、妊娠は単なる身体的な変化にとどまらず、母親の脳の構造にも影響を与えることが分かっている。

代表的な研究のひとつでは、初めて妊娠した女性の脳を分析した結果、思考や感情、情報処理に関わる灰白質の体積が最大で約4.9%減少していることが確認された。

この変化は、観察対象となった脳領域の多く(およそ9割)で認められ、出産にともなう神経構造の適応を示すものと考えられている。

さらに、こうした構造変化の一部は出産後も数年間にわたり持続することが分かっている。出産から6年経っても、母親の脳は妊娠経験のない女性の脳と明確に区別できるという。

以下では、8人の母親が出産後に「自分らしさ」を取り戻すためにどのような方法を見出したのかを紹介する。

リンゼイ・デイビス(2児の母)

「子どもを産んだあと、自分を取り戻すまでに想像以上の時間がかかりました」とデイビスさんは本誌に語った。

「でも、再び運動できるようになってから、少しずつ自分らしさを感じ始めました。ママになる前はマラソンを走ったり、ワークアウトが大好きだったので、出産後は長い間、自分の体とアイデンティティがかみ合わない気がしていました」

「今はマラソンまでは無理ですが、いつかまた挑戦したいです」

レイチェル・マッケニー(2児の母)

「2人目の息子を出産した後、ひどい産後うつと不安に苦しみました」と39歳のマッケニーさん。

「自分を回復させる上で一番効果的だったのは、支えてくれる人たちに心を開いたことです。助けてもらい、必要なものをお願いしました」

両親が食事宅配サービスを手配してくれたり、2歳の息子のベビーシッターを雇ってくれたおかげで、赤ちゃんや自分に集中できました。定期的にセラピーにも通いました。友人にも悩みを打ち明けたことで、彼女たちはよく様子を見に来てくれました。支えられていると感じ、恥ずかしさはありませんでした」

サマンサ・ブリーン

「産後に一番自分らしくいられたのは、100%ウェイトリフティングのおかげです」とブリーンさん。

「妊娠前から数年間やっていて、妊娠中も続けると決めていました。簡単ではありませんでしたが、やり通しました。月曜に自己ベンチプレス記録を更新して、金曜に出産したんです」

「6週間待って再開するのは大変でしたが、戻ってみたら人生が変わりました。ひとつのことに集中できるのが本当に素晴らしかったです」

ホリー・スティーブンス(2児の母)

「私の場合、出産後すぐに仕事に復帰したことが、自分を取り戻す大きな助けになりました」とスティーブンスさん。

「フリーランスでシングルマザーだったので、長期休暇を取る選択肢はありませんでした。収入が必要だったし、クライアントを失う不安もありました。仕事の構造や目的意識が、私を現実に戻してくれました」

「2人目の時には産褥ナースを雇えて、本当に救われました。帝王切開で退院した日に彼女が来てくれて、夜間のケアをしてくれたおかげで睡眠が取れ、朝は上の子(7歳)の学校送迎や仕事にも集中できました」

「赤ちゃんの世話と、上の子や仕事の時間のバランスを取ることで、私は地に足をつけることができました」

リンジー・マッカレブ(2児の母)

「私が自分らしさを取り戻せたのは、同じようにアイデンティティの変化を経験している新米ママたちとつながったことでした」と41歳のマッカレブさん。

「出産前にシカゴ中心部の『新米ママのためのミートアップ・グループ』に入りました。娘が生まれた後、そのグループが私の支えになりました。

おしゃれをして、ベビーカーを押してノードストローム・カフェでランチをする──それだけで癒やされました。同じように母親になったばかりの女性たちと、悩みを共有したり笑ったりする時間は本当に貴重でした」

カレン・ピンクストン(4児の母)

「8歳、5歳、4歳、2歳の4人の子どもの母です。睡眠不足や上の子の世話、在宅勤務で毎日が挑戦です」と39歳のピンクストンさん。

「でも、朝に軽い運動をして冷たいシャワーを浴びるだけで、一日が変わりました。どんなに疲れていても、冷水シャワーでリフレッシュし、自分を取り戻せるんです」

「一日ずつを大切に、自分をケアすることで、子どもたちの世話もより良くできるようになりました」

アレクサ・スタークス(2児の母)

「出産後に自分らしさを感じられたのは、大好きな運動を再開できたときでした」と32歳のスタークスさん。

「出産から数週間後、呼吸法やストレッチ、ゆっくりとした動きを始めたことで、心身ともに回復しました」

「2人目の時は幼児もいたので時間は限られていましたが、そのおかげでよりアクティブになりました。ベビーキャリアで赤ちゃんを抱っこし、上の子と一緒に散歩に出かけるようにしました。新鮮な空気と体の動きは本当に大切でした」

サマンサ・レビティン(13カ月の娘の母)

「2024年9月末に娘を出産してから、完全に自分らしさを取り戻すまで数か月かかりました」と38歳のレビティンさん。

「でも、『着替えること』がとても助けになりました。産休中も毎日メイクをして、いつもの習慣を崩さないようにしました」

「新しい友人たちとママランチやディナーを楽しむようになり、同じ状況にいる人たちとつながるのが心強かったです。でも本当に『自分』に戻れたのは、仕事復帰して、外出し、忙しい生活に戻ったとき。そこに以前とは違う、より地に足のついた視点を持って戻れたことがうれしかったです」

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。