子育てで「燃え尽きやすい」親の共通点とは(写真はイメージです) maroke-Shutterstock
<ポーランドの研究チームによる最新の調査で、「不安型」や「回避型」といった不安定な愛着スタイルを持つ親が、感情的疲労や子どもから距離を置きたくなる「親の燃え尽き症候群」に陥りやすいことが明らかになった>
不健康な「愛着スタイル」を持つ親は、感情的疲労や子どもから距離を置きたいという衝動を含む「親の燃え尽き症候群」に陥りやすいことが、新しい研究によって明らかになった。
この研究は、ポーランド・ワルシャワのマリア・グジェゴルジェフスカ大学の研究チームによって実施され、学術誌『PLOS One』に掲載された。対象はCOVID-19パンデミック中のポーランド人の親440人である。
研究チームは3種類の心理学的質問票を用いて、各親の愛着スタイル、感情を認識・言語化する能力(失感情症=アレキシサイミアと呼ばれる特性)、そして燃え尽き症候群の症状を測定した。
その結果、不安定な愛着スタイル──すなわち「回避型」または「不安型」──を持つ親は、有意に燃え尽き症候群を経験しやすいことが判明した。
感情を抑える・揺れる親ほど燃え尽きやすい
回避型の人は自分の感情を抑え、感情的に負担の大きい交流を避ける傾向があり、不安型の人は感情的に反応しやすく、対人関係において不安を感じやすい傾向がある。
いずれのタイプも燃え尽きと関連していたが、その影響の現れ方は男女で異なっていた。
この関係における重要な要因は、アレキシサイミア(感情を特定・表現することの難しさ)であった。自分の感情をうまく認識できない親ほど、疲労感や子どもへの感情的距離を感じやすい傾向があった。
研究者たちは、「子育ては、自分の感情と子どものニーズの両方に絶えず適応することを求められる」と述べている。自分の感情を把握・言語化できないと、ストレスが蓄積しやすく、対処法の効果も低下するという。
データによれば、アレキシサイミアは「不安定な愛着」と「燃え尽き」の間の橋渡しの役割を果たしており、初期の人間関係のパターンがどのようにして親としての疲弊へとつながるのかを説明していた。
女性では、感情処理の難しさを通じて「不安型」と燃え尽きの関連が最も強く現れた。男性では「回避型」がより大きな役割を果たし、直接的にも、またアレキシサイミアを介しても影響していた。
男性は平均的に高いアレキシサイミアのスコアを示し、臨床的な閾値に近く、自分の感情を理解することがより難しいことが示唆された。また、全体的な燃え尽きレベルも高かった。
幼少期の親子関係が左右する「燃え尽きリスク」
研究者たちは、男性はしばしば感情抑制に頼る傾向があり、女性はより感情を表出しやすいが、ケアの要求が絶え間ない場合に圧倒されやすいと指摘している。
さらに、幼少期の親子関係が男女で異なる形で燃え尽きの経路を形成していることも明らかになった。
男性では「母親への回避型愛着」が燃え尽きと最も強く関連していた。一方、女性では「父親への回避型愛着」が最も強い関連を示し、父娘関係がストレス耐性や感情調整能力の形成に特に影響を与える可能性が示唆された。
研究者たちは、親の燃え尽きへの介入は単なるストレス管理にとどまらず、感情調整や愛着に関連するプロセスに焦点を当てるべきであると主張している。具体的には、自分の感情や動機を理解する能力を高める「メンタライゼーション・ベースド・セラピー」や、感情の意識と共感力を強化する「感情焦点化療法」などが有効であると述べている。
また、性差に応じた支援策も推奨している。たとえば、父親には感情的な再関与と回避行動の軽減を促し、母親には感情的過活動の管理と建設的な感情表現の発達を支援することが挙げられる。
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