ほっと関西 ことしは猛暑で“蚊がいない”?

3歳の子どもと一緒に来ていた母親
「例年に比べて、ことしは蚊に刺されにくい気がします。暑いからじゃないですか?」

50代の男性
「特に対策をしているわけではありませんが、ことしは刺されてないです」
意外にも多かったのが「ことしはあまり蚊に刺されていない」という声でした。
猛烈な暑さが原因ではないかという声もありましたが、実際、どうなのでしょうか?
蚊も夏バテ?
大阪市に本社がある殺虫剤メーカーのKINCHOで、長年、害虫について研究してきた、加原朋子さんに聞きました。

加原さんによると、白と黒のしま模様が特徴的な「ヒトスジシマカ」は、気温が27度前後の時に最も活発になる一方、気温が35度前後になると動きが鈍くなるということで、猛烈な暑さが続くと、日中は、やぶや草陰で休み、朝晩の比較的涼しい時間帯に活動するということです。
また、ヒトスジシマカは、気温が15度を下回ると活動が鈍りますが、最近は気温の高い時期が長くなっているため、大阪では11月になっても血を吸いにくる個体がいるということで、蚊への対策が必要な時期が長引く傾向にあるということでした。
KINCHO 加原朋子さん
「蚊は気温が30度を超えてくると動きが鈍くなりますが、いなくなるわけではありません。草の陰でじっとしていることが多くなるだけで、気温が下がってくると、また活発になってきます。近年はだんだんと残暑が厳しくなっていて、ことしの予報を見ても、10月いっぱいは活動し、11月に入っても血を吸う蚊もいるのではないかと思います。しっかり虫よけ対策をしてもらいたいです」
O型は刺されやすい?
そもそも、どんな人が蚊に狙われやすいのでしょうか。
加原さんによると、蚊は、視力がよくないため、暗いか明るいか、目の前のものが動いているかどうかがわかる程度だということです。
その代わり、触覚部分が高性能のセンサーになっていて、
▽人が吐く息に含まれている二酸化炭素
▽汗や皮膚のにおい
▽体温

などを感知して、人の居場所を特定できるということです。
そのため、刺されやすいのは、
▽体温が高い人
▽汗っかきの人
▽お酒を飲んだ人
▽運動直後の人
などだということです。
ちなみに、ちまたでは、「O型が刺されやすい」などと、血液型との関係について耳にします。
これも加原さんに聞いてみましたが、科学的に有意な差が認められるような研究は今のところないということで、蚊が血液型を判別できるという証拠も見つかっていないそうです。
加原さんは、仮に、何かの傾向があっても、体温や二酸化炭素、皮膚表面のにおいなどの要素のほうが大きいのではないかと話していました。
「虫よけスプレー」効果的な活用術
吐く息に含まれる二酸化炭素や、汗のにおいを感知して忍び寄ってくる蚊。
刺されないように「虫よけスプレー」を使っている人も多いと思いますが、しっかり効果を出すために大事な5つのポイントを聞いてきました。

(1)日焼け止め→虫よけスプレー の順番で使う
夏場は強い日ざしから肌を守るために、日焼け止めを塗る人も多くいますが、先に日焼け止めを塗ってから虫よけスプレーを吹きつけるのがよいそうです。
虫よけスプレーには、蚊の触覚部分のセンサーをかく乱する成分が含まれているため、いちばん外側に吹きつけることに意味があるということでした。

(2)肌が露出している部分にはできるだけすべて塗る
スプレーを体に吹きつけたあと、手で塗り広げて、肌が露出している部分にまんべんなくつけることが大事だということです。
蚊は虫よけスプレーが塗られていない部分を見つけ出して刺してくるそうです。塗り残しのないようにしてください。
(3)手にとって顔にも塗る
忘れがちなのが顔です。汗をかいたり、口から二酸化炭素を吐き出しているため、刺されやすい場所です。
スプレーなどを直接吹きつけると、目や鼻に入ってしまうので、一度、手に液をとってから塗るようにしてください。

(4)薄手の服なら服の上からもスプレーする
製品によっては、服の上から吹きかけても問題がないものもあるそうです。夏場で薄い服や、体に密着するぴったりした服を着る場合は、服の上からもスプレーをしたほうがよいということでした。
(5)汗をかいたら塗り直す
外で活動して汗をかくと、虫よけスプレーも汗と一緒に流れ落ちてしまうということです。汗をかいた場合には、改めて虫よけスプレーを塗り直すことが大事だということです。
蚊はエレベーターに乗って高層階にもやってくる
外に出る時だけでなく、家でも対策が大切です。
まずは、家に入れないことが大事ですが、帰宅して玄関を開けた時や、洗濯物を取り込もうと窓を開けた時などに、蚊は入ってくるため、注意してほしいということです。
また、蚊は、ちょっとした隙間を探して家の中に侵入してくるということです。

蚊は、自力では、建物の2階くらいまでしか飛べないということですが、エレベーターに乗ってきたり、風で飛ばされたりして、高層階にもたどりつくことがあるということでした。
また、ベランダの鉢植えや排水口などに水がたまったままになっていると、そこが蚊の発生源になることもあるそうです。
蚊の侵入を防ぐため、ベランダや玄関の外側にぶら下げるタイプや置くタイプのグッズを置くと、侵入を防ぐのに役立つということでした。
しっかり対策をして、蚊とのなが~い夏を乗り越えましょう。
(8月22日「ほっと関西」で放送)
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