国立がん研究センターなどは、人工透析を受けている腎不全の患者に特有の腎臓がんが発症する仕組みを明らかにした。通常の腎臓がんとは異常が起きる遺伝子が異なり、腎臓の特定の組織からがんができていた。透析患者向けのがん治療法の開発につながる。

研究成果をまとめた論文は、国際学術誌「キャンサー・ディスカバリー」に掲載された。
人工透析の治療は自力で排尿できない末期の腎不全患者に施す。日本では約35万人が長期間、透析治療を受けている。透析を受け続けると腎臓に袋状の構造ができることがあり、腎臓がんを発症するリスクが高くなる。ただ袋状の構造ができる仕組みは分かっていなかった。
国立がん研究センター研究所の間野博行所長や田中庸介研究員らは、透析を受けた患者と受けていない患者の腎臓検体を調べた。透析を受けた人は異常が起きる遺伝子が通常の腎臓がんと異なっていた。また袋状の構造やがんの元になった組織が、腎臓の一部の近位尿細管だと分かった。
間野所長は「臨床の医師とどのような治療に生かせるか検討していきたい」と話した。
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