インターネットでポルノを見る際には注意が必要だ(写真はイメージ) chaossart-shutterstock

<インターネットの普及で手軽にポルノにアクセスできるようになったが、それに伴い、ポルノ依存症という問題も発生している>

インターネットの普及により、人々はより簡単にポルノコンテンツを楽しめるようになった。

しかし、中にはポルノに依存してしまい、多くの時間やお金を消費して、日常生活に支障をきたすケースも存在する。

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オーストラリアのモナシュ大学、ブラジルの非営利団体のドール研究教育機関(IDOR)、リオデジャネイロ連邦大学(UFRJ)の研究チームは、過去1年以内に最低一度はポルノを視聴したアメリカとイギリスの男性を対象に、ポルノ使用時の行動がどのように問題的ポルノ使用(ポルノの依存的使用の総称。PPU)と関わるのかを調査した。

加えて、2000人の男性に対して、衝動性、感情処理のメカニズム、有害であると分かっていてもポルノ使用を減らしたり中止したりするのが困難かについての自己申告についても評価した。

結果、2時間以上続く、あるいは複数回のオーガズムを伴う「ビンジ視聴」、オーガズムを意図的に遅らせる「エッジング」、頻繁に動画やページを切り替える「タブ・ジャンピング」といった行動が、PPUに共通して見られる特徴であることを突き止めた。

加えて、ポルノを長く見れば見るほど快感は薄れていき、そうした快感への慣れがPPUに典型的に見られる傾向であることも明らかになった。ポルノコンテンツへの耐性がつき、かつて味わったのと同じ興奮を得るために、より刺激的あるいは新奇な内容を求めることが、行動制御の喪失につながっているのだ。

こうした「新たなコンテンツを探し続ける行動」は、強迫的な行動を強化する役割を果たす可能性がある。

【参考文献】

Ince, C., Albertella, L., Liu, C., Tiego, J., Fontenelle, L. F., Chamberlain, S. R., Yücel, M., & Rotaru, K. (2024). Problematic pornography use and novel patterns of escalating use: A cross-sectional network analysis with two independent samples. Addictive Behaviors, 156.

PPUは性欲が強いからではない?

本研究の発見の核は、PPUがオフラインにおける性依存モデルよりも、インターネット依存のモデルに近いことだ。ポルノに過剰な時間を費やすことは、衝動性や自制の喪失に関わる行動と密接に関連している。

特に、オンライン上で動画やシーンの高速切り替えといった、より強い刺激を求めてコンテンツを探し続ける行動が、強迫的な視聴行動を強化しているという。PPUは性欲そのものというよりも、オンラインプラットフォームの構造に深く結びついている可能性があるのだ。


しかし、PPUの治療は容易ではない。PPUの分類方法が定まっていないためだ。実際、PPUを強迫的な性的行動の一形態と捉える医者もいれば、ギャンブルや過剰なゲーム使用と同様の行動依存として扱う医者もおり、当然、治療方針も医者の考え方によって変わる。

本研究は初めて、PPUの文脈においてタブ・ジャンピングやエッジングといった、PPUを引き起こす行動を特定、定量化して測定した。この測定結果に基づき、ポルノ使用の強度と強迫性を評価するための新たな枠組みを示すことで、これまで臨床現場での観察に頼ってきた治療方針に、実証的なデータを提供することを目指す。

研究者らは、このような評価指標が、高頻度使用と問題的使用を区別する手がかりとなり、治療やセルフヘルプの介入に役立つ可能性があると述べている。

今まで見ていたポルノの刺激に対して鈍感になると、ユーザーはより刺激的な素材を求めて消費量をエスカレートさせ、視聴時間が延び、強迫的なパターンが形成されていく。

このポルノへの耐性強化とも言うべきサイクルを認識し、治療することが、PPUを軽減する助けとなる可能性がある。




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