北川進氏=京都市左京区で2025年10月9日午前9時40分、前田梨里子撮影

 「競争的資金だけでなく、基盤的経費の充実を」――。2025年ノーベル化学賞に選ばれた北川進・京都大高等研究院特別教授が、受賞決定後の記者会見をはじめさまざまな場面で強調してきた研究費の支援のあり方について、毎日新聞の取材に改めて解説した。

 北川さんは研究資金を4層に分けて整理する。第1層が各大学に配分される運営費交付金からまかなわれる基盤的経費。その他は競争的資金で、第2層はその中でも最も自由度が高い科研費(科学研究費助成事業)、第3層が科学技術振興機構(JST)などによる資金、第4層が新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)などによる資金だ。第3層と第4層は国家的な戦略課題に役立つ研究が対象となり、第3層は基礎から応用の目的基礎研究、第4層は実用・社会実装が期待される。

 北川さんは「競争的資金が悪い訳ではない」と前置きした上で、「第3、第4層の応用・実用を目指した研究費ばかりを大きくして基盤的経費や科研費が軽視されると、自由闊達(かったつ)な研究ができなくなる。それでは応用・実用も伸びなくなる」と語った。【太田裕之】

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