移住・定住サポートサイトで愛媛県西条市が参加を呼びかける無料・オーダーメード型の移住体験ツアー=同市提供

 宿泊費、往復交通費、食費、全て無料の1泊2日移住体験ツアーに参加しませんか――。住み心地、働き心地、学び心地を体感してもらおうと、愛媛県西条市が提供する無料ツアーが好評だ。移住希望者一人一人に合わせた「完全オーダーメード型」の日程を組むのが一番の特徴。西条を「知りたい」人と、その良さを「知らせたい人」を柔軟につなぎ、その後のフォローにも結びつけている。

子連れ参加も可能

 「1泊2日無料個別移住体験ツアー」は2018年度に始まった。24年度末までに82組235人が首都圏や関西圏から参加し、うち21組65人が実際に移住した。24年度は10組33人が訪れ、3組12人が移り住んでいる。

 ツアーは最初、偶然から始まった。市によると、最初は18年秋に移住希望を1泊のバスツアーで案内する予定だったが、台風で中止に。後日、「来られる人だけでも」と少人数で受け入れ、職員が公用車で案内したところ好評だったという。

 その後、同市が大阪と東京で年に計6回程度開いている移住セミナーの参加者から希望者を募り、面接とアンケートで選考のうえで無料体験ツアーに招待することが定着している。ツアー予算は年約250万円。日程は参加者の希望に合わせ、土日祝も可。子ども連れも歓迎している。

子育て中のツアー参加者が民家で竹馬を体験する場面も=愛媛県西条市で(同市提供)

 起業、就農、カフェ開業、子育てと移住希望者の指向は多様で、知りたいこと、見たいものもそれぞれ異なる。市職員に加え、Iターン、Uターンで移住した人を含む男女15人の「サポーター」がツアー中に相談に当たっている。農業、飲食店開業、ローカルベンチャー実践、子育てなど、西条でのさまざまな体験に基づいた助言を受けられるのが魅力で、かつて体験ツアーに参加して実際に移住・起業した「先輩」の男性もサポーターの一人。「子どもが四季の変化に気づくようになった」などと移住後の発見を伝えている。実際に移住した後もサポーターらが日々の相談に乗れる強みがある。

先輩相談員がサポート

 「地域の課題を知り、起業を目指したい」という移住希望者へのツアー日程では、初日は移住者が商店街で開いた店でランチ後、市内のコワーキングスペースで移住・起業相談▽酒蔵、マルシェ、スーパー、病院など市内各所を案内▽移住した起業経験者と面談▽移住者が開いた農家民宿で夕食、宿泊。2日目は大規模産直市場を視察して旬のフルーツを使ったパフェを味わう▽移住者と古民家カフェでランチ▽農園でイチゴ狩り▽スーパー、居住物件など市内各所を案内――と、濃密な体験と詳細かつ多岐にわたる相談時間が盛り込まれている。

 子育て環境を知りたい希望者の場合は認定こども園、小学校、子育て交流センターなどを訪れて話を聞く時間をたっぷり盛り込んでいる。2泊以上に日程を延ばしたいという希望者には、実費で延長スケジュールを提供している。

 西条市は移住・定住サポートサイトでツアー参加者らの声を紹介している。神奈川県から子ども2人と参加した40代の夫婦は「旅行では決して感じられない西条市を体感しました。先生が校舎の中を案内してくれて、部活に来ていた生徒さんたちはとても元気で、本当に魅力的でした」と、個別ツアーならではの感想を寄せた。

 宝島社発行の「田舎暮らしの本」が発表する「住みたい田舎ベストランキング」で、西条市は「若者世代が住みたい田舎」部門で20~22年の3年続で日本一を達成している。

 同市の森本素史(もとふみ)・市民生活部副部長兼移住推進課長は「移住者の先輩、地域のキーマンといったサポーターが、移住を希望する皆さんの良き相談相手になっている。迷うことなく移住できる環境を引き続き整えていきたい」と話す。ツアーの問い合わせは西条市の移住相談窓口(0897・47・6064)。【松倉展人】

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