堺市立中学校の現職の校長が2日、生徒の保護者への対応を巡って同市教委の複数の職員からパワーハラスメントによる精神的苦痛を受けたとして、同市を相手取り、慰謝料など330万円の損害賠償を求めて大阪地裁堺支部に提訴した。
校長は記者会見で「保護者の理不尽な要求に応じるため、市教委から必要がないのに謝罪するよう繰り返し指示があり、自尊心を傷つける過大な要求を受けた」と主張した。
訴状などによると、校長を務める中学校で2024年7月、担任の教諭が部活動の前に無断で校外に出て行く生徒を見つけ、校則違反の注意をした。保護者は校長に苦情を申し立て、教諭を担任から外して懲戒処分にするよう求めた。校長は市教委のスクールロイヤー(弁護士)に相談し、「保護者の求めに応じる必要はない」と助言された。
これに対し、市教委からは保護者の要求をふまえ、説明会を開いて謝罪し、全ての生徒と保護者に指導は不適切との内容の手紙を出すように指示された。市教委の担当者が校長に対し「保護者の要望通りにすればこの件は終わる」と伝えたり、話し合いの際に机をたたいて声を荒らげたりしたという。
市教委との協議は1年半にわたり、校長は24年12月に適応障害、25年5月にはうつ病と診断された。校長の代理人弁護士は「職務上の優位性を背景にした不必要な要求は過大業務に該当し、1年以上にわたったのは異常」と指摘した。
提訴について、市教委は「内容を確認して今後の対応を判断する」とコメントした。渡辺耕太・学校教育部長は取材に「提訴され驚いている。校長に適切に対応したと認識している」と述べた。【中村宰和】
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