千葉県いすみ市の県立大原高校の生徒が、海の生き物を育む「藻場(もば)」を守るため、藻場を荒らす魚を使った新商品を開発した。タカノハダイ(関東の別名タカッパ)をドーナツに加工した「タカッパ魚(ギョ)ーナツ」。藻場を守る環境保全と、未利用魚を使った地域活性化を目指している。
藻場は海藻が生い茂り、魚介類の産卵や生育の場となっているが、県南部の海では近年、藻場の消失が深刻化している。その原因の一つと指摘されるのが海藻を食べるタカノハダイだが、独特の臭みが敬遠され、網にかかっても海に放流されがちという。
大原高校は2022年度から授業の一環として未利用魚のメニュー開発を手がけている。23年度に考案したブダイに手を加えたブダイメンチは、学校給食に採用された。
今回はブダイメンチに次ぐ第2弾。3年の岩瀬証さん(17)と目羅智也さん(17)が、大原沖で揚がったタカノハダイをさばいてすり身にし、誰もが食べやすいよう甘いドーナツに仕上げた。
ほんのり魚の香りがし、ふんわりとした食感で、魚のうまみも感じられる。味は青のり、黒ゴマ、プレーンの3種類。11月下旬に市内の大原漁港で開かれた「港の朝市」で初めて売り、揚げたて4個入り(500円)100セットを完売した。今後は安定的に製造し、小売店などで販売するのが目標という。
目羅さんは「魚の臭いを減らすために、塩を入れた氷水にさらしたり、ホットケーキミックスの香りを役立てたり、いろいろ工夫しました。タカノハダイが売れるようになれば漁師さんも喜ぶと思います」と話した。
岩瀬さんは「うろこもひれも骨も硬く、包丁が入りにくいですが、おいしくできました。おいしい食べ物で、外房地域を訪れる人を増やしたいです」と期待した。【高橋秀郎】
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