迷子の猫は近くに隠れていることも多い(写真はイメージです) Yuhui Du-Unsplash
<年配の男性は愛猫がいなくなってしまったことに打ちのめされていた。亡き妻と一緒にかつて保護して大切にしていた高齢猫だった>
ジュリー・ナシャワティさんは10月21日の夜、夫のスティーブ・グラネリさんと共に2回目の結婚記念日を祝うはずだった。しかし頭の中は、17歳の猫アリエルのことでいっぱいだった。
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ナシャワティさんはボストンのサウスエンド地区で猫シッター業を営みながら、ボランティアで猫が関係する問題の解決を手助けしている。「私はこの近隣一帯で仕事をしていますが、野良猫や捨てられたペット、すぐに助けが必要な猫を見つけたという人たちからも連絡が来るんです」。ナシャワティさんは本誌の取材にそう語った。
自身で保護団体は運営していないものの、その動物好きとペット発見の実績は定評があり、過去何年にもわたって「@julienashawaty」のユーザー名でそうした経験をSNSに投稿し、喜びの声を巻き起こしてきた。
長年の間に助けた猫や飼い主の数は数えきれない。「いなくなった猫を家に戻す手伝いをしたり、怪我した猫を病院に運んだり、もう二度と会えないと思っていたペットと飼い主を再会させたりしてきました」とナシャワティさんは言う。「これは私の人生の大きな一部で、とても強い思い入れがあります」
しかしあの晩は、1匹の猫のことしか頭になかった。その日、アリエルという老猫について近所の人から連絡が入っていた。「近所に住む年配の男性が、朝起きると玄関ドアがわずかに開いていて、猫のアリエルがいなくなっていることに気付いたんです」「ドアの掛け金がしっかりはまっていなくて、夜中に風でドアが開き、アリエルが抜け出してしまいました」とナシャワティさんは説明する。
事情を知れば知るほど心が痛んだ。「その子は17歳のシャム猫で、この男性と亡くなった妻が20年近く前に路上で保護して以来、外へ出たことはありませんでした」
ナシャワティさんはすぐに男性の家を訪れて捜索の手伝いを申し出た。「男性は打ちのめされて、自分を責めていました」「妻は天国から自分を見て胸が張り裂けそうになっているだろうと言い続けていました」
すぐに捜索を開始したものの、暗くなってもアリエルは見つからなかった。結婚記念日のディナーの間も、ひとりぼっちのアリエルが今頃どこかで震えているかもしれないという思いが頭から離れなかった。
「正直なところ、ほかに何も考えられませんでした」とナシャワティさんは打ち明ける。しかしナシャワティさんだけではなかった。夫もまた、落ち着くことができずにいた。そこで2人はディナーの帰りに家へ直行するのではなく、アリエルが最後に目撃された場所へタクシーで戻り、捜索を続けた。
「自分たちの2回目の結婚記念日なんて、どうでもよかったんです。あの男性が既にあまりにたくさんのものを失っていたことを、2人とも知っていました」「妻と一緒に保護して、生涯一緒にいるはずだった猫を失ってしまう...そんな展開にさせるわけにはいきませんでした」
2人は街灯とスマートフォンのライトを頼りにアリエルの捜索を再開した。行方不明になった猫は、最初にいなくなった場所の近くで見つかることも多い。Animals誌に掲載された2018年の研究によれば、1200匹の猫と飼い主を対象に調査した結果、行方不明になった猫の75%は、脱走した場所から500メートルの範囲内で見つかっていた。
近隣一帯を丹念に捜索すれば、住宅の庭やその近くに隠れているアリエルがきっと見つかるだろうとナシャワティさんは信じていた。そしてその思いは報われた。「ついに見つけました。よその家の敷地にある高いフェンスの向こうにあの子がいました。あまりにも小さくて、じっと動かずに。でも私はそこへ行けなかったんです。ドレスにハイヒールだったので。そこで最初に知らせてくれた近所の人に電話しました」
踏み台を持って駆け付けてくれた近所の住民の助けを借りて、ゆっくりと慎重に動き、ナシャワティさんはついにアリエルを抱き上げ、無事保護することに成功した。電話で朗報を伝えた飼い主の男性は、夜間授業で教えている最中だった。教室から「歓声が巻き起こった」瞬間のことを、ナシャワティさんは今もはっきり覚えている。
再会の瞬間は感動的だった。「男性は私たちへの感謝が止まりませんでした」「2週間後には私たちを招いてクッキーを振る舞ってくれ、自分と妻が長年の間に保護した猫たちのことを話してくれました。家に戻って落ち着いたアリエルの姿は、いつまでも心に残る思い出のひとつになりました」
アリエルのことをTikTokで共有したのは、ハッピーエンドだったからだけではなく、地域社会の大切さを物語る出来事だったからだとナシャワティさんは話す。
「何人かの近所の住民と、踏み台、ほんの少しの思いやりが、この物語の結末を変えました」「誰かを助けることは、たとえ知らない相手だったとしても、大きな違いを生むことがあるんです」
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