冬季の入浴でヒートショックが起きるイメージ

 冬場に「ヒートショック」による高齢者の入浴事故が増える中、心配する人のうち3人に1人が月5000円以上かけてでも対策を求めていることが東京都の調査で明らかになった。

 急激な温度差による血圧の変化で、一時的に意識を失うなどの健康被害をヒートショックと呼ぶ。暖かい部屋から寒い脱衣所と浴室を経て、入浴の際に起きることが多いとされる。

 消費者庁によると、2023年に浴槽内で溺れるなどして死亡した65歳以上の高齢者は6541人。交通事故で亡くなった2116人の約3倍に上る。

 東京都は25年7月、住まいの室温に関する実態調査を実施し、高齢の親と同居する全国の400人から回答を得た。その結果「高齢家族のヒートショックなどのリスクが心配」と回答したのは39・3%だった。

 出費をしてでも解決したい室温改善対策を複数回答で尋ねたところ、ヒートショックのリスク軽減は79・6%に上った。このうち、解決に支払える金額は、月額で5000円以上が36%と最多で、1000円以内24・8%▽1000~3000円21・6%▽3000~5000円17・6%――と続いた。

 消費者庁によると、有効な対策として、脱衣所や浴室を入浴前に暖めておくこと、温度計を設置して温度差が確認できるようにすることなどが挙げられる。入浴中も湯温は41度以下で、湯につかるのは10分以内を目安とし、温度計やタイマーを使って把握することを推奨している。

 日本の住宅は断熱性能が低く、室内が寒くなりがちとの指摘がある。窓やドアなどの断熱リフォームも有効な対策として知られている。【渡辺諒】

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