自民党と日本維新の会は17日、社会保障制度改革に向けた実務者協議を国会内で開いた。市販薬と効能や成分が似ている「OTC類似薬」の保険適用見直しでは、追加負担を求める薬の種類や負担割合の考え方には隔たりがあり、実務者レベルでの合意を断念した。年内に結論を得るため、両党の政調会長間で協議を継続する。
両党関係者によると、維新は患者が追加負担する割合を、保険適用される額の「1分の1」として、結果的に全額を患者に支払わせる案を主張。年間の医療費を総額で数千億~1兆円規模で削減するよう求めている。一方、自民は追加負担の対象となる薬を数十種類に限定した上で、数百億円規模の削減に抑えたい考え。全額負担には反対しており、この日の協議では折り合えなかった。
維新は当初、掲げてきた「医療費の年4兆円削減」の実現に向け、OTC類似薬を保険適用から原則除外するよう求めていた。ただ、患者負担が急激に増えることを懸念し、当面は除外を断念した経緯がある。
一方、2020年代中をめどに、保険料や窓口負担に株式配当など金融所得を反映させることは合意した。75歳以上の後期高齢者を先行させる方向で、制度を検討する。地域医療の質向上や医療費最適化などを目指す「地域フォーミュラリ」の全国展開を進めることで一致。後発医薬品の利用促進などで医療費削減を目指す。政府は来年の通常国会で関連法案を提出する方針だ。【鈴木理之、中村好見、肥沼直寛】
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