「ネット出席」の周知や運用改善を文部科学省に要望し、記者会見するすららネットの佐々木章太・子どもの発達支援室長(右)と不登校ジャーナリストの石井しこうさん=東京都千代田区で2025年12月17日午後2時7分、斎藤文太郎撮影

 オンライン学習に取り組んだ不登校の生徒を出席扱いにできる制度が知られていないとして、AI(人工知能)教材開発会社などが17日、文部科学省に制度の周知や運用改善を要望した。保護者への情報提供が不足しているほか、教員も制度を知らない例があるとし、出席認定の手続き例も提案した。

 不登校の児童生徒が自宅にいながらタブレット端末などで学習した場合、保護者と学校の連携や訪問による対面指導の実施などを条件に校長が出席と認定できる。05年に始まった制度で、「ネット出席」と呼ばれる。

 要望書を提出したのは、AI教材をてがける「すららネット」(東京)と不登校ジャーナリストの石井しこうさん。ネット出席の周知・認定状況に関する実態調査の実施や、制度を知ってもらうための通知の発出、出席認定の基準や保護者からの申請手続き書類の例示などを求めた。

 学校がネット出席を認めるためのガイドラインの案も添付。要望後に記者会見したすららネットの佐々木章太・子どもの発達支援室長は「運用にあたっては、教員も悩んでいる。校内教育支援センターなども増えているが、そちらに行けばいいという考えではなく、子どもの状況に合わせて判断してもらいたい」と述べた。

 すららネットなどが8~10月に実施した調査では、児童生徒の約6割が制度を知らず、保護者の9割弱は説明を受けたこともなかった。学校の教員からも「制度を知らない」と言った声が寄せられているという。【斎藤文太郎】

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