「カロリーの殺し屋」とも呼ばれる「奶皮子(ナイピーズ)フルーツあめ」=中国のSNS「小紅書」から
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 今秋以降、中国の都市部で、爆発的に流行しているお菓子がある。フルーツあめに、内陸部・内モンゴル自治区の伝統乳製品を組み合わせた「奶皮子(ナイピーズ)フルーツあめ」。写真映えの良さから交流サイト(SNS)などで広まり人気が高まったが、「カロリーの殺し屋(熱量刺客)」と呼ばれるほど高カロリーで、国営メディアが食べ過ぎによる健康被害に注意するよう警鐘を鳴らしている。

 東部・江蘇省南京市の中心部。大きなビルや商業施設が乱立する街の一角にあるあめ店の棚には、色とりどりの奶皮子フルーツあめがずらりと並んでいた。じっと眺めていると、店員の女性が声をかけてきた。「これ、最近若い子たちの間ではやっているのよ。1本どう?」

 マスカットとイチゴを、それぞれ1本ずつ購入した。値段は2本で38元(約830円)とやや高額だ。長い串に5粒ずつ刺さったフルーツの表面には透明のあめがべったりと塗られ、白っぽい奶皮子の板が添えられている。マスカットの粒には、ヨーグルトのようなものも挟まれている。

 口にしてみると最初は果物の酸味が広がり、「意外とあっさりしている」と感じた。しかし、まもなく強烈なあめの甘みと濃いミルクの味が襲った。あめや奶皮子がいつまでも口の中に残り、その場では1粒ずつ食べるのが精いっぱいだった。

「奶皮子(ナイピーズ)フルーツあめ」を購入するため店舗前に並ぶ人たち=中国のSNS「小紅書」から
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 奶皮子は、牛乳を煮詰めて表面にできた膜を乾燥させた、内モンゴル自治区の伝統的な乳製品だ。フルーツあめも、北部を中心にサンザシなどの果物を使ったものがよく売られており、国営新華社通信は奶皮子フルーツあめを「クロスオーバー(交差する)グルメ」と報じている。

 別の中国メディアによると、このあめは内モンゴル自治区包頭市のあめ店が2024年末に出したのが始まりとされ、徐々に全国に広がった。南京や北京、上海などの都市部で人気が過熱。今秋には各地の販売店で長蛇の列ができ、数時間待ちにもなることもあった。

 新華社によると、同自治区のとある奶皮子の産地では、10月末から11月中旬にかけ、注文数が5倍以上に増加。価格も1食あたり6元(約130円)から3倍の18元にまで跳ね上がった。急な需要の高まりから生産が追いついておらず、奶皮子フルーツあめ自体も高価格化が進んでいる。

 一方で、食べ過ぎて皮膚の状態が悪化した女性もいたといい、新華社は高血糖や高コレステロール、肥満などの人は食べないよう警告する医師のコメントを伝えた。あめに使われている奶皮子は特に高脂肪で、注意が必要だという。【南京で畠山哲郎】

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