首相官邸=2025年7月22日午前10時20分、平田明浩撮影

 政府は19日、2026年度の診療報酬改定で、医師の技術料や人件費にあたる「本体部分」を3・09%引き上げる方針を固めた。3%超となるのは30年ぶり。物価や賃金の高騰に対応するため、高水準の引き上げが必要と判断した。医薬品の公定価格「薬価」の引き下げ分と差し引きした全体の改定率もプラスとなる見通しだ。

 政府関係者によると、厚生労働省は物価と賃金の高騰に対応するために3%超を求める一方、財務省は1%程度にとどめるよう主張していたが、その後2%超まで歩み寄りを見せていた。最終的には、19日に高市早苗首相が片山さつき財務相、上野賢一郎厚労相らと協議し、事実上決着した。

 診療報酬は公定価格で、「本体部分」と「薬価」で構成され、原則2年に1度見直される。近年は医療費の抑制のために、全体をマイナス改定することを前提に、薬価を市場の実勢価格に合わせて引き下げ、その財源で本体部分を引き上げるのが通例だった。前回の24年度改定では、本体部分を0・88%引き上げる一方、薬価をマイナス1%とし、全体の改定率は0・12%引き下げていた。

 今回の改定では、物価高などで医療機関の経営が逼迫(ひっぱく)しているとして、本体の引き上げ幅が焦点になっていた。物価高や賃上げの状況を踏まえた引き上げ幅となり、全体のプラス改定を容認した。全体のプラス改定は、消費税への対応が引き上げ要因となった14年度改定以来となる。

 診療報酬を1%引き上げると医療費が約5000億円増え、保険料などの国民負担につながる懸念がある。【肥沼直寛】

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