文部科学省は19日、世界最高の研究水準を目指す「国際卓越研究大学」の2回目の公募で、東京科学大と京都大を候補として選んだと発表した。東京科学大は今年度中に正式に認定される見込みで、2026年度分から助成を開始する。京大は研究力の強化に向けた計画が具体化したのを26年末までに確認してから認定する。東京大は計画の実効性が不透明だとして継続審査となった。
認定校には、政府が20年度に設立した10兆円規模の「大学ファンド(基金)」の運用益から助成する。24年には第1号として東北大が選ばれており、助成額は25、26年度で計323億円に上った。東京科学大の26年度の助成額は百数十億円となる見込み。
政府の有識者会議(座長・上山隆大内閣府参与)が申請のあった8校を審査し、書類審査や面接、現地視察を経て選出した。大阪大、早稲田大、九州大、筑波大、名古屋大は不採択となった。
審査では質の高い論文数に加え、大学の変革への意思を計画などから判断。研究力に加えて事業・財務戦略、ガバナンス体制などを評価した。
東京科学大は、10兆円ファンドの助成も見据えて東京工業大と東京医科歯科大が統合して24年10月に発足。医工連携の推進を掲げた計画が「日本の新しい大学のモデルになることが期待される」と評価された。
京大の計画は、約1000あった小講座を数十の研究領域ごとに統合するデパートメント制の導入が軸。海外大学やファンドと連携し、世界レベルのスタートアップ企業を創出する計画も評価された。
東大は執行部の権限を強めて「10年で世界トップ10の研究大学となる」と野心的な目標を掲げた。ただ「執行部が学部任せにせず計画を実行できるか判断できない」(文科省担当者)として最長1年間、審査を継続することになった。具体的な評価基準を作る必要もあるとしている。有識者会議ではコンプライアンスを巡る問題を指摘する意見も出たといい、東大病院の医療機器選定を巡る贈収賄事件などが影響した可能性もある。
卓越大に認定されると助成金を受けられるが、年平均約3%の事業成長が求められる。助成額は過去5年間の外部資金調達額などを基に決められる。最終的な認定校は「数校」に限定しており、3回目の公募を行うかは未定だ。【信田真由美】
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