政府は、介護サービス利用時に自己負担が2割となる人の対象拡大について、年内に結論を出すことを見送る方向で検討に入った。負担増に上限を設けるなどの配慮措置を示し、拡大する方向で調整を進めていたが、物価高騰による高齢者世帯への家計負担を考慮した。結論は2026年にも得たい考えだ。
介護サービス利用時の自己負担は、制度創設時から原則1割で、利用者の約9割が該当する。所得に応じて上がり、単身世帯で年収280万円以上が2割、340万円以上が3割となっている。
厚生労働省は制度の持続制確保には2割負担の対象者の拡大が必要として、社会保障審議会介護保険部会で、2割負担となる年収の基準を260万~230万円とする4パターンを示し、議論を進めていた。
それに伴う配慮措置として、当面の間は負担増を1カ月あたり上限7000円に抑える案などを提案。上限額を設けた場合、新たに2割負担となる人は約13万~35万人で、保険料は年約40億~100億円を削減できるとの試算も示していた。
一方、拡大は物価高が続く中で高齢者の負担増に直結するため、政府・与党内で慎重な意見も根強く、結論を先送りすることになった。介護保険部会で近く意見書をとりまとめ、政府が方針を決める。【宇多川はるか、寺原多恵子】
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