政府は22日、今後5年間で取り組むべき女性政策などの指針となる「第6次男女共同参画基本計画」の策定に向けた有識者会議をオンラインで開いた。基本計画の「基本的な考え方」案に旧姓使用の法制化を検討するとの記載が盛り込まれたことに対し、会議の委員を務める連合の井上久美枝参与が「極めて遺憾だ」と改めて苦言を呈した。
基本的考え方は今月12日に高市早苗首相に答申する予定だったが、連合の芳野友子会長から反対意見があり、答申は見送りとなっていた。政府が目指していた計画の年内策定は不透明な情勢だ。
高市政権は旧姓の通称使用を法制化するための関連法案を来年の通常国会に提出する意向。連合は選択的夫婦別姓制度の導入を求めている。22日の会議で連合の井上参与は、有識者の審議を経ずに旧姓法制化検討という政権の意向が計画に反映されるなら「プロセスの透明性と答申の正当性に疑念を持たざるを得ない」と述べた。
この日の会議で政府は、職種別の女性の登用目標案を示した。東証プライム上場企業の女性役員の比率を「2030年までに30%」とする。政治分野では衆院議員と参院議員の候補者に占める割合をいずれも「30年までに35%」を掲げた。裁判官に占める女性の割合の目標を初めて設定し「30年度末までに30%」とした。
有識者会議が8月に取りまとめた素案では「引き続き旧姓の通称使用の拡大やその周知に取り組む」として、旧姓法制化には触れていなかった。だが今月12日に示された案には、新たに「社会生活のあらゆる場面で旧氏(旧姓)使用に法的効力を与える制度の創設」を検討するとの記載が加わった。自民党と日本維新の会が交わした連立政権合意書の内容を踏まえて内閣府が記載を加えたという。
〔共同〕
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