全国有数の温泉地として知られる大分県別府市と同由布市は23日、互いの観光資源を生かして「世界一の温泉観光都市」を目指す連携協定を締結した。欧米などからの訪日外国人客(インバウンド)の誘致を強化し、県内や九州経済への波及効果を高めたいとしている。【山口泰輝】
別府市は「別府観光の父」と呼ばれる油屋熊八(1863~1935)が温泉観光地としての礎を築き、現在も市内に八つある温泉地「別府八湯」や「べっぷ地獄めぐり」で人気を博す。由布市にも由布院や湯平といった五つの温泉地があり、隣接する両市は時に競い合いながら、観光事業に取り組んできた。
一方、滞在時間が短い「通過型観光」となっているのが共通の課題だった。九州経済調査協会は観光庁の宿泊旅行統計調査(2019年)に基づき、主要な温泉地を持つ自治体の平均宿泊数を試算。すると、別府市が1・09泊、由布市は1・11泊と全国平均の1・27泊をいずれも下回っていた。
協定では、ターゲットを日本の首都圏に加え、欧米やアジア各国の富裕層とした。両市で連泊するツアーの企画やSNS(交流サイト)での観光プロモーションを強化することで「周遊型・滞在型観光」を推進するとしている。年明けから、民間の観光事業者との意見交換会を重ねて具体的な事業を検討し、来年4月からの事業化を目指すという。
23日に由布市内であった締結式では、別府市の長野恭紘市長と由布市の相馬尊重市長が協定書に署名した。長野市長は「由布市と組めば、間違いなく日本一の大温泉郷になるはず。温泉観光地として九州全体をリードしていかなければならない」とあいさつ。相馬市長は「それぞれが持つ観光資源をさらに磨き上げ、大分はもとより九州全域、世界に発信できれば」と述べた。
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