
中国科学院の研究チームは喫煙後にたばこの煙に含まれる物質が衣服や家具などに付いて吸い込んでしまう「三次喫煙」が家庭内で起きるとする研究論文を発表した。特殊な空気モニタリング技術を用いて、物質が空間に残る様子を解析した。
研究成果は国際学術誌「ビルディング・アンド・エンバイロメント」に掲載された。従来、たばこが人体に与える影響については、喫煙者以外の人が煙を直接吸い込む「受動喫煙」などが研究されてきた。空間に長く存在する物質を吸ってしまう三次喫煙の知見は十分得られていなかった。
研究チームは喫煙後の物質の変化を追跡した。たばこの煙に含まれる物質は空気中に低濃度で存在し続け、時間がたつと化学変化を起こした。
ウールのカーペットや布張りの家具など、内部に微細な穴がある素材の製品が、物質を吸収する「貯蔵庫」として働いていた。いったん貯蔵されると、物質はゆっくり放出されるため、換気だけでは空間から消えず、数時間から数日かけて空気を汚染していたという。
中国科学院の研究者は「喫煙が終わっても有害物質は放出され続けており、人々を長期間にわたって低濃度の毒素にさらす」とコメントした。三次喫煙の影響を詳しく明らかにすれば、公衆衛生の改善などにつながると期待される。
【関連記事】
- ・近視・スマホ依存・高血圧…「現代病」をテクノロジーで克服
- ・「禁煙で潰瘍性大腸炎が悪化」 理研など仕組み解明、腸内細菌が変化
- ・ニコチン過剰摂取、脳の一部で活動停止 大阪大が発見
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。