個人情報保護委員会は9日、個人情報保護法の改正に向けた方針を明らかにした。個人情報の取り扱いについて、人工知能(AI)開発に利用目的を限定したうえで本人の同意がなくても取得できるよう規制を緩和する一方、大量の情報を悪用して利益を得る行為に課徴金を納付させる制度を創設し、被害抑止を図る。
これに基づき改正法案を策定。23日召集の通常国会への提出を目指すという。
個人情報保護法は、個人情報を第三者へ提供したり、信仰や病歴、犯罪歴など差別につながる恐れのある「要配慮個人情報」を取得したりする際、原則として本人の同意が必要と規定する。だがこうした規制が、大量の学習データを収集するAI開発の障壁になっているとの指摘があった。
改正方針によると、利用目的がAI開発に伴う統計情報の作成などに限定され、さらに本人の権利や利益を侵害する恐れがないといった条件を満たす場合、本人の同意がなくても第三者への提供を認める。要配慮個人情報もインターネット上などで公開されている場合には、取得に際し本人同意を不要とする。
ただし16歳未満の情報の取得には、親権者を含む法定代理人の同意などを義務付ける。また、目や鼻の形状など顔の特徴を示すデータについては、プライバシーの侵害につながりやすい半面、顔認証システムの普及なども考慮し、取り扱う事業者に利用停止手続きの周知などを義務付けたうえで適正な利活用を促す。
一方、悪用による被害抑止のため、課徴金制度を創設。強盗や特殊詐欺などの犯罪グループに名簿を販売するといった行為で利益を得た事業者には、利益相当額の課徴金を納付させるとした。
このほか被害者救済措置として、個人に代わって消費者団体などが個人情報の利用差し止めを請求できる団体訴訟制度の導入も検討したが、今回は見送った。同委員会によると、訴訟に関わるステークホルダー(利害関係者)との相互協力関係などで「さらなる政策的な整理が必要」と判断したという。
同法は情報技術の進展に対応するため、3年ごとの見直しが付則で定められ、2022年の前回改正からすでに3年が経過。同委員会は経済界や消費者団体、有識者から意見を聞くとともに欧州連合(EU)など海外の動向も踏まえ、改正に向けた検討を進めていた。【斎藤良太】
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