京都大学などの研究グループは、仕事のやる気をそぐブレーキ役として働く脳の神経回路を見つけた。ニホンザルの実験でこの回路の働きを抑えると、ためらわずに嫌いな課題に取り組んだ。仕事の意欲が低下するうつ病などの原因解明や治療法の開発につながる可能性がある。

京都大学は「やる気のブレーキ」となる神経経路を解明した

日本時間の10日に米科学誌「カレント・バイオロジー」(電子版)に論文を掲載した。

人間が仕事に取りかかる際に、失敗して叱られるのを恐れるなどしてなかなか始められないことがある。極端なケースは医学的に「自発意欲の低下」と呼び、うつ病やパーキンソン病などの患者でみられる。

従来の脳科学や心理学の研究では、脳は仕事を始める前に負担の重さを見積もり、行動を起こすかどうかを決めると考えられてきた。ただ、脳の神経回路が働く詳しい仕組みは不明だった。

京大などはニホンザルに報酬の水を与えたり、顔に風を吹き付ける罰も加えたりする課題に取り組ませて実験した。すると罰を加える場合にはサルが課題に取りかかりにくくなった。脳の腹側線条体と腹側淡蒼球という部位をつなぐ神経回路の働きを抑制すると、課題をすぐに始めるようになった。

実験の結果から、この神経回路が課題に取り組む意欲をそぐブレーキとして働くことがわかった。この回路の働きをうまく調節できれば、うつ病やパーキンソン病などの症状を改善する治療法の開発につながる可能性がある。

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