千葉大学の本橋新一郎教授㊨と飯沼智久講師が記者会見をした(16日、東京都千代田区)

千葉大学医学部付属病院は16日、iPS細胞から作製した免疫細胞の「ナチュラルキラーT細胞」を頭頸(とうけい)部がん患者に投与した医師主導治験の結果を報告した。安全性が確認され、8人のうち2人で腫瘍が縮小した。今後は治療効果を詳しく調べる治験を経て、10年後をメドに治療の実用化を目指す。

千葉大の本橋新一郎教授と飯沼智久講師が16日、記者会見をして治験の結果を報告した。今回の成果をまとめた論文は2025年末、学術誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に掲載された。

ナチュラルキラーT細胞はがんを攻撃する。この細胞を採取して投与すれば、がん治療に応用できると期待されている。ただ、細胞は血液中に0.01%しか存在しない。

そこで採取した細胞を増殖能力があるiPS細胞に変えてから、ナチュラルキラーT細胞を作製して患者に投与する治療法を開発する。この手法では細胞を冷凍保存して作り置きができる利点がある。

研究チームは20〜23年に細胞を10人のがん患者に初めて投与して安全性などを確かめた。細胞投与との関連が否定できない副作用として、もっとも重い症状でも皮膚の発疹にとどまり、本橋教授は「安全性を確かめられた」と話した。

投与の効果を検証できた8人のうち2人は腫瘍が1割ほど小さくなった。治療の効果を期待できる可能性がある。ほかの6人については3人は腫瘍のサイズがあまり変わらず、残りの3人は大きくなった。

今後について本橋教授は「さらなる治験が必要で、治療の実用化には最低でも10年はかかる」と語った。今回は細胞のみを投与する治験だったが、効果を高めるために別の種類の免疫細胞とあわせて投与する手法などの研究も進める。

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