17日に始まった大学入学共通テストの「歴史総合、世界史探究」で、フランス革命を描いた漫画「ベルサイユのばら」(ベルばら)が引用され、交流サイト(SNS)では受験生から驚きの声が上がった。主人公「オスカル」が男性として育てられたという人物設定から、当時の女性の地位や家父長制について考えさせる内容だった。
池田理代子さん作の「ベルサイユのばら」は、革命前後のフランスを舞台に王族や貴族、従者らの愛を描いた物語。1972年から「週刊マーガレット」に連載され、翌年完結した。アニメ化、宝塚歌劇団で舞台化もされ、人気を博した。
「ベルばら」が登場したのは、フランス革命に関する問題。貴族の娘に生まれながらも将軍の父に男性として育てられたオスカルが「普通の女性として育っていたら、15歳のころには嫁がされていたのか」などと父に問いただす場面が引用された。
また、フランス革命で市民の側についたオスカルが「バスティーユへ!!」と民衆を率いて出撃する名場面も掲載された。
設問は、この場面とフランス革命に関する他の出来事を年代順に正しく並べられるかどうかなどを問う内容。問題文では当時のフランスについて「当時の貴族の女性が家父長である父親や夫に対して、従属的な立場に置かれていたと考えられる」との一文もあった。
X(ツイッター)では受験生とみられるアカウントから「ベルばら出てきたおかげで点数取れてやばい!!!」「まじでベルばら見とけば良かった」などの投稿があった。
一方、「歴史総合、日本史探究」でも中近世の歴史をジェンダーの視点で考えさせる出題があった。
中世における女性と政治の関わりの題材として、鎌倉幕府初代将軍・源頼朝の妻で頼朝の死後に実権を握った北条政子について「日本は女人が政治の最後の仕上げをする国であるということが、本当のことになったのだ」という歴史書「愚管抄」の記述などを読み解く問題が出された。
また、室町幕府の第八代将軍・足利義政の妻日野富子も登場。従来は幕政への積極関与や金融活動を否定的に捉えられて「悪女」とされてきた歴史的評価が、研究により「(幕政への関与は)夫の義政が政務を放棄した時期であることや、金融活動は幕府財政の運用に不可欠であり、貸し付けた相手への経済支援にもなっていた」などと肯定的に変化していることにも触れた。
女性と政治を巡るテーマは江戸時代からも出題されたが、「女性が主導権を握った家や国は滅びる」という意味の儒教の言葉「牝鶏(ひんけい)晨(あした)す」が17世紀後半の教訓書や武家家訓に現れたことや、「中国の女性伝の要約や和訳が出版され始め、男性を支えることが女性の美徳とされるようになる」などとの説明文で、家父長制的な価値観の広がりについて触れる内容だった。【西本紗保美】
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