がん細胞のイメージ peterschreiber.media-shutterstock
<全世界のがんによる死者数は1年間で1000万人に上る>
2022年に世界中で診断されたがんのうち、約4割は、人間や社会が変えることのできるリスク要因に起因していることがわかった。
【動画】がんの「最大のリスク要因」と、それが体にもたらす影響
この分析は英医学誌のネイチャー・メディシン誌に掲載されたもので、185カ国における36種類のがんを対象とし、現在のがんの診断が、約10年前にどれほど一般的であった特定のリスク要因と結びついているかを調べた(がんは発症までに年単位の時間を要することが多いため、このようなタイムラグが考慮された)。
2022年に新たに診断されたがん(非黒色腫の皮膚がんを除く)は1870万件であり、そのうち約710万件(37.8%)は、30の「対処可能なリスク要因」と関連していた。
この要因には、喫煙や飲酒といった行動、感染症、環境曝露、職場でのリスクなどが含まれる。
がんはすでに世界で主要な疾病および死因の1つであり、2022年には2000万件以上の新規症例と約1000万人の死亡が記録されている。この傾向が続けば、新規症例は2040年までに約50%増加すると予測されている。研究者たちは、その増加を食い止めるためには予防が極めて重要になるとしている。
世界全体で見た場合、がんの最大の要因は依然「たばこ」であり、全体の15.1%を占めた。「感染症」は10.2%、「アルコール消費」は3.2%だった。
特定のがんが「予防可能な負担」に大きく寄与しており、中でも肺がん、胃がん、子宮頸がんの3つが、対処可能なリスクと結びついた症例のおよそ半数を占めていた。
東アジアは対処可能ながんが半数以上を占める
男女間でも明確な差が見られた。女性患者においては、全体の29.7%(約270万件)のがんが対処可能な要因と関連していたのに対し、男性ではその割合が45.4%(約430万件)と大幅に高かった。
女性において最も大きなリスク要因は全体の11.5%を占める感染症だった。これには、子宮頸がんの原因として知られるヒトパピローマウイルス(HPV)や、胃がんとの関連があるとされるヘリコバクター・ピロリ菌の感染が多く含まれている。次に大きな要因は喫煙であった。
男性においては、喫煙が23.1%を占め圧倒的だったほか、その次に多かったのは感染症だった。これらのリスクは、特に肺がん、胃がん、肝臓がんとの関連が強かった。
また、生活習慣、公衆衛生制度が世界各地で異なるため、地域ごとに顕著な差異が存在することも明らかになった。
女性の場合、サブサハラ・アフリカ地域では、対処可能なリスクに関連するがんの割合が最も高く、38.2%に達した。一方、北アフリカおよび西アジアではその割合が最も低く、24.6%であった。他のほとんどの地域では、女性のがん症例の約3分の1が予防可能とされた。
男性では、地域差はさらに大きかった。東アジアでは、男性のがんの57.2%が対処可能なリスク要因と関連していた。これに対し、ラテンアメリカおよびカリブ地域では28.1%にとどまった。
また、南ヨーロッパ、東ヨーロッパ、東南アジア、南中央アジア、そして北アフリカおよび西アジアなど複数の地域では、男性のがんの40%以上が対処可能な要因と結びついていた。
がんの発症数を数百万件規模で防ぐことができる!?
研究者たちは、この結果は明確な予防の機会を示していると指摘する。たばこ規制政策、感染症を防ぐためのワクチン接種や治療プログラム、有害なアルコール摂取を減らすための戦略などは、将来のがん症例を大幅に減らす可能性がある。
疫学者のハンナ・フィンクは本誌に対し、「もし世界的に最も大きな影響を与える介入策を1つ選ぶとすれば、あらゆる国において包括的なたばこ規制政策を実施、強化することだ」と、たばこのリスクについて指摘した。
「たばこは依然として世界中で最大の予防可能ながん原因だ。今回の調査結果では、全がん症例の約15%、男性においては5件に1件以上のがんの原因となっていた」
さらに、たばこ対策として「大幅な税率引き上げ、無地パッケージ、広告の全面禁止、公共の場の禁煙化、禁煙支援の提供」を挙げ、「いずれも最も費用対効果の高い健康政策であり、たばこによる健康被害のリスクをすぐに減らすことができる」とその効果について語った。
フィンクはさらに、今後10~20年で喫煙率の低下を加速させることで、がんの発症を数百万件規模で防ぐことができるだけでなく、心疾患や肺疾患の発症率も引き下げられると述べた。
「重要なのは、これらの政策が健康格差の是正にもつながるという点だ。喫煙はますます社会経済的に不利な立場にある人々の間で集中している傾向があるからだ」
【関連記事】
心停止の8割は自宅で起きている──ドラマが広める危険な救命イメージ
致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染拡大する可能性は? 感染症の専門家の見解
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。