写真はイメージ=ゲッティ

 40歳未満の早期に閉経してしまう女性に対し、慢性腎臓病患者に使われる既存の薬を投与することで、成熟した卵子を得ることができたとの研究成果を、順天堂大などのチームが米科学誌サイエンスで発表した。14人の患者を対象に調べたところ、8人で卵子や受精卵の凍結につながったという。

 早期閉経は、遺伝子や自己免疫、抗がん剤などを原因に月経がなくなる疾患。女性の100人に3・5人が発症するとされ、不妊や更年期症状が問題になる。

 無月経になっても、数は少ないものの卵子のもととなる細胞(卵胞)は残っている。腹腔(ふくくう)鏡下手術で卵巣の一部を取り出して細胞を活性化させ、再び移植して卵子へと発育させる治療法はあるが、体への負担が大きい。

 研究チームは、マウスの卵巣細胞を使い、卵胞の活性化のきっかけとなる物質が増える薬剤を探した。既存薬1297種の中から、特定のホルモンの働きを抑える「フィネレノン(一般名)」が見つかった。

 フィネレノンは2型糖尿病を合併する慢性腎臓病の患者に使われる。高齢マウスに投与すると卵胞が育つことが確認され、若いマウスに投与すると通常よりも多くの子を産んだ。卵子の染色体や着床能力、子の成長や行動などに異常はなかった。

 臨床試験で早期閉経患者14人に週2回、3~7カ月投与したところ、全ての患者で卵胞の発育が確認できた。13人が卵巣刺激を受け、8人の体内で成熟した卵子になった。最終的に未婚者3人が卵子を、既婚者5人が受精卵を凍結保存することにつながった。

 早期閉経患者では、卵巣を形作る細胞が硬くなって卵子が育ちにくくなると考えられ、フィネレノンによって卵巣の環境が改善されるとみられる。

 研究チームの河村和弘教授(産婦人科学)は「比較的軽症の患者で効果が高いと考えられ、国内外の多施設で有効性を調べたい。無月経の患者だけでなく、高齢で不妊治療の成績を上げたい人にも効果が出る可能性がある」と話した。【渡辺諒】

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