再発防止策の方向性などを説明する知床世界自然遺産地域科学委員会ワーキンググループの会合の出席者=札幌市中央区で2026年2月12日午後4時52分、水戸健一撮影

 世界自然遺産・知床の羅臼岳で昨年8月に登山客がヒグマに襲われて死亡した事故を検証している環境省や地元自治体などでつくる「知床ヒグマ対策連絡会議」は12日、人につきまとうなどする問題個体が出没した場合、速やかに登山道閉鎖の措置をとる再発防止策を盛り込んだ報告書案を示した。

 事故は昨年8月14日に発生。友人と下山中の男性が襲われた。加害個体は子を連れた母グマで、駆除された。羅臼岳は事故を受け登山道を閉鎖したまま登山シーズンを終えた。

 報告書案は事故の要因について、突然の遭遇や子、食物を守るための防御的攻撃、人につきまとう問題個体による積極的攻撃、双方の可能性を指摘した。

 被害者はクマ鈴を所持していたものの、スプレーを持っていなかったことも明らかにした。同行者によると、出没情報などが掲示された看板の内容は記憶に残っていなかったという。

 課題も整理した。出没情報の収集は登山客へのアンケート調査が主で網羅性や正確性に欠ける点や、発信情報は目撃場所や件数の集計でリスクが分かりづらい点などを挙げた。

 会議は再発防止策として、スプレーの普及やレンタルの促進だけでなく、危機感を伝えて行動変容を促す注意喚起の手法の検討が必要と判断。「リスク情報」として4段階のリスク区分案を新たに作成した。

 これまで登山道閉鎖の基準が不明確だったとして、人につきまとったり人為的食物を食べたりした問題個体の出没が確認された場合は迅速に対応する方向で検討する。シカの死骸などのクマの誘引物が見つかった場合も閉鎖の基準の一つとして例示した。

 再発防止策を実施する体制が整い次第、登山道の閉鎖を解除するという。会議は3月中に報告書にまとめ、登山シーズンに備える。【水戸健一】

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