売り出し前には毎回店頭に行列ができるなごみの米屋の縁日カステラ=千葉県成田市で2025年12月28日、合田月美撮影

 通常はカステラを販売していない和菓子店「なごみの米屋」の総本店(千葉県成田市)が、成田山新勝寺の本尊・不動明王の縁日である毎月28日にのみ売り出す限定品だ。しかも焼きたてとあって、売り出しの1時間前には行列ができる隠れた人気商品となっている。卵の力だけで見事に膨らんだ黄金色のカステラは生地はしっかり、口溶けはしっとり、甘さがほどよい昔懐かしい味がする。

 材料は卵、砂糖、小麦粉、水あめ、蜂蜜とシンプル。だが素材にこだわり、平飼いの鶏の卵をふんだんに使い、砂糖はザラメと上白糖、すっきりした甘さを生かすためのグラニュー糖を入れる。小麦粉はきめ細かく卵の気泡を壊さない製粉会社の最高級銘柄で、ふくらし粉は一切使用しない。

 これらを混ぜ合わせた生地を縦約75センチ、横約65センチ、高さ約5センチの木の型枠に流し込み、オーブンで約1時間焼く工程に入る。ここからが正念場だ。「均一に焼けるよう、泡切りといって3~4回は生地をかき混ぜます。オーブン内の温度が下がらないよう、いかに素早くやるかが大事」と、担当6年目の係長、田村哲也さん(35)は語る。

卵の力だけで膨らんだなごみの米屋の縁日カステラ=千葉県成田市で2025年12月28日、合田月美撮影

 工夫はまだある。膨らみ始めるタイミングを見計らって型枠の高さをかさ上げし、型枠に鉄製のふたをする。これ以上焼き色がつかないようにして生地を十分に膨らませるためだ。途中で膨らみ過ぎないよう、穴の空いたふたに差し替えて焼き上がりを待つ。それぞれの工程でタイミングの見極めなどが難しく、田村さんも任された当初は何度も失敗したという。

 焼き上がったカステラは、新型コロナウイルスの流行前は店頭に運ばれ、来店客の目の前で切り分けられていた。総本店の高沢武利店長は「縁日にお参りにいらっしゃるお客様に、何か特別なおもてなしをしたいと20年ほど前からカステラの提供を始めました。切り分けの実演も非常に喜ばれまして、いずれまた再開する予定です」と話す。

 1個600円(税込み)で、毎月28日の午前11時と午後2時から各回約100個売り出す。購入は1人2個まで。【合田月美】

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