農林水産省は、毎年8月から12月にかけて都道府県ごとに10アールあたりの収穫量の見込みを公表しています。

それによりますと、
▼静岡県が去年を「上回る」、▼山形県や兵庫県など12の府と県が去年を「やや上回る」となったほか、▼新潟県や北海道など29の都道府県が「去年並み」でした。

一方、秋田県や宮城県など4つの県が去年を「やや下回る」と見込んでいます。

農林水産省では、7月以降、猛暑で雨も少なかったことから、一部の地域でイネが枯れる被害がみられているものの、生育時期を通じて全国的に日照時間が長かったため、生育は「おおむね順調に推移している」と評価しています。

一方で、今回の見通しは収穫時期を迎えるまでの気象が平年並みに推移する前提で、猛暑によってコメの品質が低下することなど考慮していない点もあるとして、農林水産省は、今後の状況を注意深く見ていく必要があるとしています。

コメの収穫時期 例年9月後半~10月前半にかけてピーク

コメの収穫時期は、全国的には例年9月後半から10月前半にかけてピークを迎えます。

7月下旬ごろから四国や九州を中心に収穫される新米は一般的に「早場米」と呼ばれ、生育期間が短い「わせ」と呼ばれる品種です。

農林水産省によりますと、2024年は8月末までに産地や銘柄を証明する検査を終えた新米は、全体の5.7%にとどまっています。

このため、8月までに出回る新米の量は全体に比べると限定的で、流通量が増えるのは、コメの生産量が多い東北や関東で収穫が本格化する9月以降になります。

注目されることしのコメの作柄

今後、公表されるコメの作柄は、新米の価格動向に影響を与える可能性があります。

農林水産省によりますと、ことし6月末時点で、主食用に向けられるコメは去年より56万トン増える見通しで、作柄が平年と大きく変わらない状況であれば供給量の大幅な増加が見込まれています。

一方で、農協がコメを集める際、生産者に支払う仮払い金、「概算金」を各地で引き上げる動きが広がり、新米の小売価格も上昇するという見方が強まっています。

さらにことし、一部の地域で懸念されている水不足や暑さによるイネの生育への影響しだいでは、期待ほどコメが供給されない可能性もあるだけに、市場関係者は例年以上にコメの作柄に注目しています。

専門家「高温の傾向続くと減収、品質・味の低下が懸念」

コメの栽培に詳しい福島大学の新田洋司教授
コメの収穫量の見込みについて「ことしは渇水、少雨に加えて高温の傾向があるが、収穫量の見込みが前年よりもやや下回ったのが4つの県にとどまったのは意外だった。田植えをした、おおむね5月ごろの時期からよい天気が続いていたのが影響し、イネの初期の生育がある程度確保されたことがこの結果に結びついているのではないか」と分析しています。

その上で「本格的な収穫期を控えた今はコメの粒がどれだけ大きくなるか、厚くなるかという非常に大事な時期になっている。高温の傾向が続くと穂の中身を作るのに大きなマイナス要因になるので、高温によってどれだけ減収してしまうか、品質や味がどれだけ低下してしまうのか、懸念している」と話しています。

また、価格に与える影響については「粒の数はとれたとしても、高温によって粒が厚くならなかったり白く濁ったコメが増えたりすると、出荷量や流通量が減ってしまうので価格が高くなってしまう可能性はある」とみています。

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