奈良県明日香村の高松塚古墳(特別史跡、7世紀末~8世紀初め)の極彩色壁画(国宝)のうち、「飛鳥美人」で知られる女性群像の一人の上着に、東南アジアなどが原産の濃い赤色の色料「臙脂(えんじ)」が使われた可能性が高いことが分かった。文化庁の検討会で25日、報告された。スカート(裳〈も〉)にも使用された可能性があり、当時の国際交流を物語る発見としても注目される。

 臙脂は、東南アジアや南アジアに分布するラックカイガラムシという昆虫が分泌する樹脂状物質(紫鉱〈しこう〉)から得られ、奈良・正倉院には薬としても伝わる。

 壁画の保存・管理を担当する東京文化財研究所(東文研)などが、飛鳥美人を構成する4人の女性像のうち、左から2人目の桃色にみえる上着の彩色部分を最先端の非破壊手法「可視分光分析」で解析し、判明した。

 調査した東文研の犬塚将英・保存科学研究センター長によれば、桃色は臙脂と鉛白を混ぜたか、臙脂の赤色が退色した可能性があるという。

 飛鳥美人の壁画からは、これまでにも右から2人目の女性像のスカートに臙脂が使われた可能性が指摘されていた。この女性像の上着にも、臙脂を用いた可能性が浮上しているという。

 古代の材料に詳しい成瀬正和・元宮内庁正倉院事務所保存課長は「絵画の色彩に臙脂が利用された最古の事例だろう。唐などを経由して日本まで届けられたとみられ、改めて高松塚壁画の国際性と描き方の緻密(ちみつ)さが明らかになった」と話す。

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