放課後に来館した子どもたちのランドセル=札幌市東区の札苗児童会館で2025年9月30日、今井美津子撮影

 間もなく新年度を迎える。

 共働きや一人親家庭で小学校に入学する子どもがいる場合、放課後の「学童保育所」は心強い存在だ。

 だが、入学直後に「学童に行きたくない」と訴え、早々に退所するケースが少なくないことが、「放課後NPOアフタースクール」(平岩国泰代表理事、東京都文京区)の全国調査で明らかになった。

 どんな理由があるのか。

放課後の居場所、16・8%が公立学童

 こども家庭庁によると、2025年5月時点の全国の学童保育利用者数は約157万人と過去最多を更新し、待機児童は1万6330人に上る。

 こうした状況の中、放課後NPOアフタースクールは25年12月、小学生の子どもを持つ保護者に放課後の過ごし方などを尋ねる調査をインターネットで行い、2283人から有効回答を得た。

 それによると、メインの放課後の過ごし方は「公立の学童保育」が16・8%と、「大人がいる自宅」(37・0%)に次いで2番目に多かった。

 公立学童で過ごす子どもの割合を学年別に見ると、1年生27・6%▽2年生26・4%▽3年生20・8%▽4年生13・1%▽5年生9・6%▽6年生7・3%――と、1年生が最も多くなった。

 一方で、公立学童を利用していたが、途中で退所した289人に退所時期を聞いたところ、20・4%が「小学1年」と答えた。

こども家庭庁=東京都千代田区で2023年11月、三股智子撮影

 特に、小学1年の「4~6月」は全体の9・7%に上り、10人に1人が入学直後に退所していた実態が浮かんだ。

「過ごし方の質が伴わなければ…」

 1年生で退所した理由は、「子どもが行きたがらなくなったから」が28・8%で最多となった。

 行き渋りの理由をさらに詳しく聞いたところ、「活動・過ごし方が合わない」が52・9%と半数を超え、「学童に通っていない友達と遊びたかったから」(17・6%)、「子ども同士のトラブル」「環境・設備が合わない」「施設スタッフが合わない」(いずれも11・8%)などが続いた。

 <学童クラブの人数がとても多すぎて、クラブの中で過ごすのがつらかった(1年生)>

 <遊びも制限されたり面白くないから(1年生)>

 自由記述でも、こうした活動内容や環境のミスマッチを訴える声が目立った。

 放課後NPOアフタースクールの担当者は「活動内容・音環境・選択性に改善余地があり、過ごし方の質が伴わなければ安定的な居場所として機能しにくい」と指摘する。

 では、公立学童を退所した子どもはその後どうしているのか。

写真はイメージ=ゲッティ

 その点も尋ねたところ、全体では「自宅で留守番」(23・5%)が最も多くなった。

 小1で退所し、現在も小1の子ども(16人)に限ると、「大人がいる自宅」が43・8%、「放課後子ども教室」「児童館」がそれぞれ12・5%で、「自宅で留守番」はゼロだった。

「留守番」 子どもへの影響は

 放課後の居場所が子どもの自己肯定感・チャレンジ意欲にどう影響しているかも調べたところ、メインの放課後の過ごし方が「自宅で留守番」の子どもは、自己肯定感・チャレンジ意欲が他の居場所と比べて低いことが分かった。

 因果関係などは分からないが、担当者は「自己肯定感は、他者とのやり取りや、何かに取り組んで達成した経験の積み重ねによって育まれる側面があります。自宅で子どもだけで留守番している状況では、そうした経験が相対的に得にくい可能性があります」と推察する。

 また、チャレンジ意欲についても、家庭内の環境では新しいことに挑む機会そのものが多くない可能性があり、「やってみよう」という気持ちを後押しする友達からの刺激や周囲の働きかけも受けにくいと考えられるという。

 今回の調査結果を受け、担当者は「(放課後の過ごし方のミスマッチなどは)各家庭の工夫だけでは解決できず、社会全体で取り組むべき課題です。現在は、豊かな放課後の居場所が全国的に不足しています。国・自治体・地域と民間団体が協力し、居場所の選択肢づくりを一体的に進めていく必要があります」と話している。【近藤綾加】

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。