「『どうすれば、学校側の対応がおかしかったことが認められるのか』とずっと考えてきた。十分ではないが、それが認められたのは一歩前進だ」
中学1年時のいじめ被害から14年。佐賀県鳥栖市で記者会見した佐藤和威(かずい)さん(26)は、第三者委員会が学校や市教委の当時の対応を「不適切」などと断じた報告書を答申したことを受け、こう語った。
佐藤さんは2012年4月に市立中に入学した直後から、複数の同級生にエアガンで撃たれたりプロレス技をかけられたりするなどの暴行を約7カ月にわたって受け、体に赤黒いあざがいくつもできた。「ばらしたら、ただでは済まさん。お母さんも同じ目に遭わせる」。そう脅され、「自分という人格が壊され、なくなっていくように感じた」。
12年10月に学校が事態の一端を把握したことで、佐藤さんは取り乱した状態になり、その後、暴行を受けている光景を思い出すフラッシュバックに繰り返し襲われた。何度も、自ら命を絶とうとした。
13年3月、市教委は記者会見を開き、佐藤さんへのいじめを「犯罪に等しい」などと謝罪した。一方で、佐藤さんが求め続けた第三者による調査は拒み、佐藤さんが訴訟を起こすと、市側は同級生の行為を「悪ふさげ、ちょっかいに当たる軽微なもの」などと主張した。
被害から約10年後の22年9月、佐藤さんは第三者委の設置を改めて求めるため、市教委を訪れた。「先生の目の前で暴力を受けていたのに助けてもらえなかった。自分と同じように苦しんでいる子供たちのために、事実を明らかにしてほしい」という思いからだった。
だが、申し入れ書を手に庁舎に入ると、いじめ発覚後に十分に対応してもらえなかった記憶がよみがえり、吐き気を覚えて過呼吸に陥った。この日も佐藤さんは懸命に動揺を抑えながら市役所を訪れ、第三者委の報告書を受け取った。
その報告書は「早い段階で徹底した調査がされていれば、佐藤さんは現在に至る重い精神症状に苦しめられることはなかったかもしれない」として、学校や市教委によるいじめの事実確認の徹底などを提言。報告書の内容を今後の対策にどう生かしていくかの検証も求めた。
佐藤さんは「次に同じようなことが起こった時には、被害に遭った子供が救われるよう、先生たちは考え方を変えてほしい」と語った。【樋口岳大、成松秋穂】
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