膵臓(すいぞう)がん治療などで実施される高難度の外科手術を受けた場合、地方の病院では都市部の病院に比べ、術後90日以内に死亡するリスクが17%高いとする結果を東京科学大のチームが発表した。80歳以上の患者に限ると41%リスクが高かった。
膵臓の病気に対する外科手術の標準治療は「膵頭十二指腸切除術」と呼ばれる。膵臓の頭部を中心に胆のうや十二指腸、胃の一部などをまとめて切除して臓器を再建するため、手術時間が6~8時間と長く、難易度が高いとされる。
退院までの間に感染症が重症化したり、膵臓の消化液が漏れ出て出血を起こしたりして、死亡するリスクが高いことが指摘されている。
研究チームは、術後90日以内に病院内で死亡したケースを調べるため、2010~21年に切除術を受けた全国の8万6339人を解析した。その結果、人口が50万人以上かそこに隣接する都市部の病院に比べ、それ以外の地方の病院では死亡する確率が1・17倍高いことが明らかになった。特に80歳以上の患者に限ると、死亡する確率は1・41倍高かった。
年齢が高くなるほど地方の病院では死亡するリスクが高まる傾向にあり、研究チームは「手術で受けるダメージが大きく、術後の合併症発生率も上昇する。急変した場合に迅速な対応が取れるかという面で、都市部と地方の差が生まれている可能性がある」と分析する。
研究チームの藤原武男・東京科学大教授(公衆衛生学)は「リスクの高い患者の手術は、可能なら設備の整った都市部の医療機関で行うことが理想だ。高難度手術をする医療機関を集約化することで、限られた人材と設備を有効に活用できる」と指摘する。
一方で「移動困難な患者もいるため、病院間でのリモートコミュニケーションを活性化させるなど、地方で安全に手術ができるサポート体制を強化することも必要だ」と話した。
成果は日本消化器病学会誌に掲載された。【渡辺諒】
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