
岐阜県立高校と特別支援学校高等部の生徒が学校で使うタブレット端末について、県教育委員会は、2026年度の新入生から購入費を各家庭の負担とする方針を決めた。これまでは無償で貸与していたが、国の財政支援などが見込めないため負担を求めることにした。保護者の一部は反発の声を上げ、方針見直しを訴え署名活動を始めた。【安達一正】
県教委によると、現在中学3年の生徒がいる家庭に、市町村教委を通じて伝えている。端末は進学先の高校によって必要な性能が異なるため、12月ごろまでに各校の条件を県教委のホームページに掲載する予定。県教委が購入用のウェブサイトを立ち上げて割安で提供できるよう業者と家庭を仲介するが、購入費は6万~10万円程度を想定している。
県内高校生へのタブレット端末の貸与は、コロナ禍中の20年度から始まった。国の交付金を活用し無償だったが、端末の更新時期となり、県教委の試算では無償貸与を継続した場合、新たに約68億円が必要になる。国の支援は見込めない状況という。
保護者ら約10人は県教委の方針を受け、「生徒用タブレット端末の今後を考える会」を結成。「全額保護者負担の見直し」などを求め、署名活動を始めた。会のメンバーは8月27日に記者会見し「保護者の意見も聞かずに突然決定した。制服や教科書代などに10万~20万円が必要で、さらなる負担は納得がいかない」と憤った。

文部科学省の昨年5月時点の調査では、公立高校生の端末費について、岐阜など23府県が原則公費、三重など24都道府県が保護者負担だった。公費負担の府県の多くが今後見直しを進めるとみられ、愛知県教委も岐阜県同様、26年度の新入生から購入費を各家庭の負担とする。
一部保護者らの声に対し、岐阜県教委の担当者は「いろいろな意見があると思う。低所得世帯への支援などについて今後、検討の余地はある」と話している。
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。