写真はイメージです Arthur E Gurmankin/Shutterstock

<米中部コロラド州で「奇妙な触手を生やしたウサギ」が相次いで目撃されている。写真に収められた頭部から何本も突き出した黒い角のようなものは一体なんなのか>

米コロラド州フォートコリンズで、頭部に黒い触手のような突起が生えた複数の野ウサギたちの目撃報告が相次いでいる。地元ニュース局WFSBが伝えた。SNSには、口の周りや顔面に角のようなものがいくつもあるウサギのインパクトの強い写真が投稿されており、驚きと懸念の声が広がっている。

■【写真】「黒い触手」のようなものが何本も...角が生えたウサギの衝撃的な写真、米国で相次ぐ目撃例の正体とは?

コロラド州公園野生生物局(Colorado Parks and Wildlife)の広報担当者は本誌の取材に対し、「これはおそらく、コロラドではしばしば見られる『ウサギパピローマウイルス(Shope papilloma virus)』によるものだ」と述べた。

「先週金曜(8月8日)に初めて写真が公開されて以来、コロラドの北部地域でこのウイルスに感染したウサギの報告が増えている」と語り、「報告数は現在10数件ほどに上るが、同じウサギについて複数人が報告している可能性が高く、必ずしも10数匹が感染しているとは限らない」とした。

このウイルスは現在のところ他の動物や人間には感染しないとされているが、同局は念のため感染した野ウサギには近づかず、ペットも近寄らせないよう注意を呼びかけている。

なぜ角の生えたウサギが話題になっているのか

異様な見た目のウサギたちは、地域住民やSNSユーザーの間で大きな関心を集めており、真菌感染によって荒廃した世界を描くテレビドラマ『The Last of Us』を引き合いに出す声も多く見られる。

地元局WFSBの報道によると、現地で確認されたウサギの顔には、かさぶた状の斑点とともに黒い楊枝のような、あるいはハリネズミの針のような突起物が見られるという。また、このウイルスは頭部に小さな角のようなできものを作ることもある。

匿名の地元住民は「顔全体に、かさぶたのようなものができていた」と話し、別の住民であるスーザン・マンスフィールド氏は「黒い針か黒い楊枝のようなものが、口のまわり全体から突き出しているように見えた」と証言している。

マンスフィールド氏は、同じウサギが翌年も再び自宅の庭に現れたことを明かし、「冬には死ぬと思ったけど、死ななかった。翌年また現れて、さらに大きくなっていた」と語った。

このウイルスは、いわゆる「ジャッカロープ(角のあるウサギ)」という北米の都市伝説の元になったとされている。また、ウイルス感染によって腫瘍が引き起こされる症例の研究に寄与し、ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの開発にもつながった。

なぜ「触手」のようなものが生えるのか

野生のワタオウサギ(cottontail)の仲間などは、夏場の暑い時期に蚊やダニに刺されることでウイルスに感染する可能性がある。このウイルスはヒトパピローマウイルスと近いものだが、現時点で人間に感染した例は確認されていない。それでも専門家は、感染した野生のウサギには決して近付かないよう警告している。

ペットとして飼われているウサギがこのウイルスに感染した場合、腫瘍が悪性化するリスクを考慮し、除去手術を検討することが推奨されている。ただし、自然に治癒することもあるという。コロラド州公園野生生物局の広報担当者は本誌に、「我々としては、目の周りに腫瘍があったりエサを食べるのに支障があったりしなければ心配していない」と語った。

とはいえ、SNSで拡散しているインパクトの強いウサギの外見を見た人たちからは、さまざまな声が上がっている。「奇妙すぎる。いったい何が起きているんだ」「奇妙な触手を頭から生やしたウサギがアメリカ各地に出没していることを受け、コロラド州当局が『絶対に触るな』という警告を住民に出した」といった具合だ。

コロラド州公園野生生物局が言うように、「角ウサギ」の存在をそこまで恐れる必要はないようだが、それでもウイルス感染したウサギには近づかないのが無難だろう。

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