スマホの使用時間が増えたことで「デジタル・ドライアイ」が増加している STORYTIME STUDIO/SHUTTERSTOCK

<目の健康は体の健康の一部なのに軽く見られがち。眼精疲労やドライアイだけでなく、将来的に深刻な病気を引き起こす可能性も...>

このところ「アンプラグ」「デトックス」「時間制限」といった言葉は、ケーブル、ダイエット、締め切りのことを必ずしも意味しなくなった。

どれも私たちのテクノロジーとの関わりを表す言葉になり、私たちが果てしないスクロールや「通知」の嵐に疲弊していることを示している。


米調査会社ハーモニー・ヘルスケアITの今年の報告によれば、アメリカ人がスマートフォンに接する時間は1日に平均5時間16分。回答者の53%が「使用時間を減らしたい」と答えている。

「スマホ依存症」は不安感や鬱といった精神的影響を懸念されることが多いが、身体的な影響も確実にある。過去1年間にスマホ関連の健康問題を経験したアメリカ人は7割近く。最も多いのは眼精疲労で、4割以上が症状を訴えた。

長時間に及ぶデジタル機器の使用が、深刻な目の疾患の高いリスクに直接結び付くわけではない。しかし、近視の増加とは大きく関連している。

アメリカでは人口の4割に当たる約1億3000万人が「近視」だと推定されている。

「50年前なら、近視の人は25%程度だった」と、眼科医のブライアン・キムは言う。

近視は他の深刻な目の病気を進行させかねない。キムによれば、近視の人は網膜剝離を患う確率が5〜6倍に高まる。緑内障になるリスクも高く、手術が必要な場合もある。白内障の早期発症の可能性も大きくなる。


キムは眼精疲労やドライアイを避けるため、20分ごとに目を休ませることを勧めている。目を1分間閉じたり、遠くの物に焦点を合わせたりするといい。

緑黄色野菜も効果あり

目の表面を薄く覆う涙の膜は、光線が最初に当たる部分であり、潤いは視力の維持に欠かせない。だが画面を長いこと見つめ、まばたきをしないでいると、涙を作るシステムが刺激されなくなる。

スクリーンを見る時間が増えたことで、20〜30年前に比べてドライアイは大きな健康問題になった。「最近は『デジタル・ドライアイ』と呼ばれる症状が増えている」と、白内障専門医のニコール・フラムは言う。

涙の膜が蒸発することで心配なのは、白内障手術後などの回復に悪影響が及ぶことだ。「白内障手術の前にドライアイを治療すれば測定精度が上がり、手術で使うべき眼内レンズがより正確に分かる。術後の経過も改善される」と、フラムは言う。

さらに彼女は、スマホなどを使えば白内障になるわけではないが、「スクリーンを見る時間を減らすことは非常に重要だ」と言う。「目を休ませ、まばたきをしたりすることが屈折矯正手術や、年齢を経てからの白内障屈折矯正手術の結果にも影響する」

フラムは患者に対し、網膜にある視細胞を守る効果がある緑黄色野菜を食べたり、涙の膜を保護する不飽和脂肪を取るよう勧めている。オメガ3脂肪酸のサプリメントを取ったり、まぶたを清潔に保って細菌を防ぐことも有益だ。


「目の健康は全身の健康の一部なのに、軽く見られがちだ」と、キムは言う。「眼科検診で糖尿病などの病気や、高血圧などの症状が見つかることもある」

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