
診療報酬の審査業務を担う厚生労働省の外郭団体「社会保険診療報酬支払基金」は、医療機関が風邪や小児インフルエンザなどの疾患に対して抗菌薬を処方した場合、保険請求を原則認めないとする方針を公表した。通知は8月29日付。
抗菌薬は細菌が原因となる感染症を治療する薬。支払基金は、風邪やインフルエンザの原因の多くはウイルスで、細菌である可能性は低く、「抗菌薬の臨床的有用性は低いと考えられる」としている。患者が支払う医療費の自己負担額に影響はない。
基金は従来、同様の方針で審査していたが、一方で、2024年に公表された東大などの調査チームの分析では、風邪と診断された約97万人のうち、18%の患者に抗菌薬が処方されていた。今回は医療機関などへの周知を図るため、公表したとみられる。
認められないのは、風邪と小児のインフルエンザ、小児の気管支ぜんそく、感冒性胃腸炎、慢性上気道炎など。基金によれば、他の疾患もあるなど医学的な判断があれば算定されるケースもあるという。【阿部絢美】
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。