来年の世界文化遺産登録を目指す「飛鳥・藤原の宮都」について、ユネスコ(国連教育科学文化機関)の諮問機関、国際記念物遺跡会議(イコモス)が、現地調査を実施した。文化庁と奈良県などが9月13日、橿原市内で発表した。

 文化庁などによると、イコモスの調査員による現地調査は非公開で8~12日の5日間で行われた。世界遺産の構成資産に推薦された明日香村の飛鳥宮跡や高松塚古墳、橿原市の藤原宮跡など計19件をすべてを視察した。世界遺産の評価基準を満たしているかや、保全管理の状況などについて確認があったという。

 文化庁の則本浩佑・文化遺産国際協力室長は「19の構成資産を巡るなかでたくさんの質問があった。しっかりと説明し、一定の理解を得られたと感じている」と述べた。

 県と関係自治体でつくる世界遺産登録推進協議会も、会長の山下真知事と関係自治体のトップ3人が共同コメントを発表。「現地調査を踏まえ、イコモスにおいて世界文化遺産としてふさわしいと評価されることを信じています」と期待した。

 イコモスは現地調査の結果を踏まえ、来春ごろにユネスコに対して世界遺産に登録すべきかどうかを勧告する予定。来年7月、韓国・釜山で開催される世界遺産委員会で登録の可否が審議される。

 「飛鳥・藤原の宮都」は明日香村を中心に橿原、桜井両市に広がる6~8世紀の飛鳥時代の宮殿跡、仏教寺院跡、古墳など19の資産で構成される遺跡群。中国大陸と朝鮮半島との緊密な交流を通じて、日本列島で初めて生まれ、のちの時代にも文化的影響を与えた古代国家の宮都であり、中央集権体制が誕生・成立したプロセスを、飛鳥と藤原という二つの宮都の変遷から示すことができ、顕著な普遍的価値を持つとされる。

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