ジンバブエ出身の競泳の金メダリストで42歳のコベントリー氏は、ことし6月、IOCでは女性として、また、アフリカ出身として初の会長に就任しました。
そして9月、会長就任後、初めて来日したのに合わせて、都内でNHKの単独インタビューに応じました。
この中でコベントリー会長は、開催費用の高騰などを受けて立候補する都市が減少している現状を踏まえて「大会の規模をどんどん大きくするばかりではいけない。競技の数や参加人数を縮小し、開催地の負担を軽減しながら大会の影響力を高める方法を見つけたい」と述べ、持続可能な大会開催のあり方について検討していく考えを示しました。
そのうえで、主に7月から8月にかけて行われている夏の大会と、主に2月に行われている冬の大会の開催時期について「地球温暖化の影響で今の期間だけに限定して開催する段階ではもはやなくなってきている。大会を実施できる国を減らさないためにも、開催のタイミングをオープンに議論する必要がある」と述べ、見直しのための議論を本格的に進めていく考えを明らかにしました。
さらに、夏と冬の実施競技を移す可能性については「何人かのIOC委員からは夏と冬の競技の互換性についても問い合わせが来ているが、これは、非常に複雑な問題になると思う」と述べ、実現へのハードルは高いという見解を示した一方で「重要なのは各国が自信を持って『オリンピックを開催したい』と手を挙げられる環境をどう作りあげるかだ」と述べました。
オリンピックをめぐっては、開催都市の選考方法についても見直しが進められていて、コベントリー会長が8年の任期中に大胆な改革に乗り出すことができるのかが注目されます。
日本で再び開催する可能性は?
また、オリンピックを再び日本で開催する可能性についても聞きました。
コベントリー会長は2021年の東京大会に触れて「コロナ禍の東京大会が本当に大変な挑戦だったことは周知の事実だ。数週間前、アスリートと会議の中で話す機会があったが、彼らは東京での経験をとてもポジティブに話していて、当時の日本が大会を開催してくれたことをとても感謝していた」と述べました。
そして今回の来日で視察した陸上の世界選手権について触れ「今回、国立競技場が満員になったように、いつか日本でオリンピックが開催される日が来ることを願っている」と話していました。
そのうえで現在、冬のオリンピックの招致活動を停止している札幌について「夏に1回、冬に1回、行ったことがあるが、冬にはたくさんの雪が降っていて、とても美しかったことを覚えている。将来、日本がオリンピックを開催したいと思ってくれたら、それはとてもすばらしいことだと思うし、2019年のラグビーワールドカップを見に来た時も、日本のファンの熱狂はすばらしかった。日本に限らず世界中に言えることだが、課題は若者をいかに引きつけるかということだと思う」と話し、招致には若い世代の理解が欠かせないという認識を示していました。
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