9月26日、気温30℃を超えた巨人二軍の本拠地・ジャイアンツタウンスタジアム。ロッテ戦の試合前練習を取材に訪れたサンデーモーニングの唐橋ユミキャスター(50)に、桑田真澄二軍監督(57)が優しく声をかけてくれた。

「こんな暑い所に来て大丈夫なの?僕が日傘持とうか?」

この鋭い観察力と気配りもあって、16日にイースタン・リーグを制覇した桑田監督。二軍監督として心がけていること、シーズン3位からの逆転日本一を目指す一軍への思いなどを語ってもらった。

唐橋キャスターの目に強く留まったのは、打撃練習中の桑田監督の動き。一般的には監督はバッターの後ろに立って選手を見るタイプが多いが、桑田監督は選手と一緒に内野を守りながら選手をチェックする。その軽快なフィールディングは、とても57歳とは思えない。

内野を守る理由は「ずっとピッチャー」

唐橋ユミ:監督かなり動かれるんですね。

桑田真澄二軍監督:そうなんですよ。休みなしです。もう球拾いからゲッツー入ったりファースト入ったりピッチャーの練習見たり。僕はどちらかというと、バッターの後ろから見る野球があんまり得意じゃないんですよね。ずっとピッチャーやってましたから。ピッチャー側から見る野球がよく見えるんですね。

桑田監督:ですから時間があると、球拾いしながらも、バッターの調子とか野手のノック受けてる姿を見ながら、身体のコンディションいいのかな悪いのかなと。そういうのはずっとチェックしてますね。

唐橋:2位に大差をつけての優勝、その理由は何だったと?

桑田監督:もうこれは選手たちの頑張りが全てですよね。それとやはり二軍ですから、たくさんミスが出るんですね。一軍の試合の倍ぐらいミスが出ますので、そのミスをしっかりとコーチ陣やスタッフが選手と一緒に分析し、改善策を練っていくっていう作業を地道に積み重ねてくれた。そのおかげで、優勝に繋がってきたんじゃないかなと思いますね。

3つの“ミッション”

唐橋:今年の二軍のミッション、3つあるそうですね。

桑田監督:「供給・調整・育成」というミッションを常に頭に置きながら二軍の運営に当たったんですけど、供給というのは一軍への選手の供給、調整というのは一軍の待機選手の調整、そして最後に若手選手の育成。それを「供給・調整・育成」と省略してトリプルミッションと言って掲げているんですけどね。

唐橋:勝ちを考えなきゃいけない、でも育成も考えなきゃいけない。指導方法というのは、難しい点があるのかなと思うんですが。

桑田監督:一軍からもこの選手を何打席立たせてほしい、何イニング、何球投げさせてほしい、何回まで守らせてほしい、複数のポジションを守らせてほしいとか、そういう要望もきますので、それも考えながら。また、ときには三軍から育成選手を少し投げさせてもらえないかとか、2打席与えてもらえないかっていう要望も受けながら。二軍では、やっぱり勝利を目指す中でしか、僕は選手は成長できないと思ってますので、何とか様々な要望に応えながらも勝利を目指していくというね。

桑田監督:また二軍の中でも育成も大事ですから。試合で使わなきゃいけない、チャンスを与えなきゃいけない選手もいますのでね。そういった意味では、僕も常に頭フル回転させてるんですけど、コーチ陣とうまく調整しながら毎試合運営しているっていう感じですね。

若手への接し方

唐橋:年齢層も18歳のルーキーから40歳までいるわけですね。そういう難しい点というか、気を付けている点っていうのは。

桑田監督:そこはもう声のかけ方と接し方ですよね。例えばもう40歳過ぎてる長野、長さんでしたら阿吽の呼吸でいろいろわかってくれますので、ここはすごく僕自身も楽にさせてもらってます。

桑田監督:ルーキー、18歳の石塚(花咲徳栄高校~ドラフト1位)をはじめね、見た目はおっちゃんかなと思うぐらいですけど、21歳の選手もいる。ほとんどの選手は18から22、23歳の選手ですから。彼らにはやっぱり丁寧に説明しながら指導する時と、あとは落ち込んでる時、ハイになってる時といろいろありますので、彼らの顔色とか動きを見ながらかける言葉、「今ちょっと厳しいことを言っていいかな」とか、「今ちょっと優しめに行こうかな」とか、そんなことを考えながら接してますけどね。

唐橋:常にもう気を配って。

桑田監督:そうですね。長年ピッチャーをやっていましたので。打者を見ながら、次の打者まで見て、相手ベンチのコーチとか監督の動きとかも見ながらいろいろやっていましたね。後ろを守ってくれてる野手のポジショニングとか、風向きを見たりとか。そういうことは現役時代からずっとやっていましたので、観察するのは長けていると思います。

「1日3試合見る」

一軍から三軍まで、育成を含めて100人以上の選手が在籍する巨人。二軍監督である桑田さんは、その全ての選手をチェックしなければならない。

唐橋:一軍の結果というのは気にされていますか?

桑田監督:やはり日本一を目指していますので。一軍の下支えといいますか、力になれるようにっていうのは常に意識していますし、大体二軍はデーゲームですので午後1時試合開始で3時過ぎに終わって、練習やってミーティングをやって。家帰ると6時ぐらいですから大体もう一軍が試合開始なので、そこからまた一軍の試合を見て。一軍が終わると今度、三軍も試合していますのでiPadで三軍の試合もチェックして、大体1日3試合見る感じです。そしてまた翌日の試合のシミュレーションをして、寝るっていう毎日を過ごしてますね。

唐橋:いつも何時に起きて何時に寝ているんですか?

桑田監督:基本は早寝早起きなんですね。夜10時に寝て5時半ぐらい起きるのが大好きなんですけど、大体夜12時ぐらいまでには作業を終えて、寝るようにはしてますけどね。朝起きるのは大体5時半とか6時ですね。

唐橋:一軍はこれからクライマックスシリーズということで、二軍を経験した選手で「この選手がキーマンになってくれたら」という選手はいますか?

桑田監督:まだまだ二軍から一軍へ行く選手は実力がそこまで伴っていないと思うんですね。ただ試合には流れとか勢いがありますので、その若い選手の力を勢いに変えられるような、そういう貢献の仕方を意識してやってもらいたいなと思ってます。「この選手に」っていうのはいないんですけど、とにかくジャイアンツが勝てるようにチームに貢献してもらいたいなと思いますね。

ワイン入りの袋を受け取り「素晴らしい紙袋ですね」

インタビュー終了後、桑田監督に紙袋に入ったワインをお贈りすると、こんな“桑田ジョーク”も。

唐橋:ワインがお好きということで、優勝おめでとうございます。

桑田監督:ありがとうございます。素晴らしい紙袋ですね(笑)

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